エックスモバイルがあえて“細かく”料金プランを改定した理由 30GBがahamoより高くても問題なし

 起業家の堀江貴文氏が手掛けた「HORIE MOBILE」や、ドン・キホーテなどを手掛けるパン・パシフィック・インターナショナル ホールディングス(PPIH)のブランドを冠した「マジモバ」など、数々のコラボサービスが話題を集めているエックスモバイル。ホワイトレーベル戦略にのっとって、その後も数々のサービスを提供している。一方で、同社自身のブランドで展開する“素のエックスモバイル”には、あまり大きな動きがなかった。 【画像】ahamoより高い新料金プラン  このような中、同社は6月にエックスモバイルの料金プランを全面的に刷新し、「グリーンプラン」を導入した。これまでは「5分かけ放題」をセットにしていたが、それをやめ、1GBから100GBまで、計8つのデータ容量から選択できる仕組みを導入した。容量別の料金体系は、ある意味“先祖返り”しているようにも見える。  このグリーンプランとは別に、5月にはAppleの「iPhone 16e」を料金プランに組み込んだ「グリーン Plus ❤️ Ai」も開始した。グリーンプランより料金は高いが、端末代は0円になるのが最大の特徴だ。黒子としてホワイトレーベル戦略に集中しているように見えたエックスモバイルだが、なぜこの改めて素のサービスを強化しているのか。同社の代表取締役社長、木野将徳氏に話を聞いた。

―― グリーンプランを開始しましたが、コラボをがんばっている中、意外感がありました。 木野氏 “コラボモバイル”は、今20個以上になりました。先月(5月)だけでも5個ぐらいやっています。「たかみーモバイル」や「クリプトニンジャモバイル」など、「そこ!?」というようなところまでいろいろやっています。  これとは別に、エックスモバイルの料金プランも変更することにしました。以前の「シンプラン」は、ちょうど「シン・エヴァンゲリオン」をやっていたころに出したもので、「ちょっとネーミングをミスったな」と思いながら何年か経過してしまいました(笑)。  ただ、あれはあれで毎日売れているんです。地方の店舗や代理店の方々が、地元のお客さまをちゃんとフォローしているのが地味に効いています。グリーンプランに変えてからも、あまり数字は変わっていません。今は微増ですが、これからしっかりマーケをしていけば、送客もできると思っています。  料金を変えた最大の理由は、代理店の皆さんからの要望が多かったことです。そろそろ変えようということで、担当がヒアリングをして、どんな料金が売りやすいのかを考えました。  例えば、うちはWi-Fi(ルーター)を売るのが得意な会社なので、ほぼ必ず提案しています。地方だと、まだADSLのアパートがあったりして、場合によっては一生、光回線が来ないかもしれない。エックスモバイルのWi-Fiは一定の品質で速度も高く、4キャリア対応ですという説明をすると結構売れるんです。そうなってくると、低容量はもっと安くしてほしい。ちょっと前だとirumoの0.5GBもあって、そっちに負けてしまいます。そういった要望が代理店からあったというのが最大の理由です。 ―― 他にはどんな理由があったのでしょうか。 木野氏 先日、SACHI TAKETOSHI(Happy)さんというインフルエンサーの方とのコラボモバイルを出しました。5000人ぐらいのコアなファンがいて、イベントをやるとほぼみんなが集まるんです。代々木の第二体育館で7000人ぐらい集まった2日間のイベントをやり、そこでSIMカードを参加者全員に配りました。MCのときに「私たちのファンのためのモバイルを一緒に作ります」としゃべっていただき、終わったあとSNSから仮登録しておいてくださいという流れにして、1週間後ぐらいに発表会を開きました。  その発表会では、最初、私たちが決めた料金プランをお見せしたのですが、はっきり言って反応が悪かった。Happyさんも、「これじゃないね」という感じだったので、「みんなで今決めませんか」ということにしました。みんな好き放題、いろんなことを言うのですが、管理部の原価を計算するスタッフもインスタライブの発表会に参加して、1GBだったらいくら、10Gだったらいくら、無制限だったいくらと、その都度原価を計算していきました。  結果、今現在、既に1000人以上がハピモバを使っていますが、料金プランは5GBと無制限にWi-Fiがあるだけです。Wi-Fiがいらない人は無制限を契約しますし、5GBの人はWi-Fiを契約する。このぐらいシンプルにしないと、インフルエンサーのモバイルは売れないと気付くことができました。こうやって作るべきなんだということが分かって、とても楽しかったですね。  当初考えたのはエックスモバイルのような細かいプランでしたが、それでは刺さらないし、インフルエンサーの方も説明ができません。これと同じで、エックスモバイルをリニューアルしたのは、店舗の売り方に合っているものにしたかったからです。地方の店舗で2つしかプランがなかったら売れません。逆に、地方の店舗だとお客さまとの距離が近く、どこで働いているか、光回線があるか、何ならどんな仕事をしているかも把握していたりします。  「奥さんは10GB、旦那さんはずっと会社なので1GBとWi-Fiが、お子さんはお母さんの古いiPhoneにSIMを挿してまずは10GBからどうですか」というような提案ができます。だから、ああいう形で(細かく容量が)分かれています。同じような料金プラン、同じような売り方をしても、お客さまに届けることはできない。エックスモバイルにはエックスモバイルの得意な売り方があり、ある意味彼ら(店舗)のサポートが特典になっています。 ―― 5分の通話定額をセットにしなかったのも、より細やかな提案をできるようにするためでしょうか。 木野氏 それも代理店のスタッフの要望が多かったですね。音声を使う人は減っていて、中学生ぐらいだと、電話番号はまったく使わない。僕らとは必要度がまったく違います。お父さんはかけ放題だけど、お子さんはLINEだよねという提案をしたかったので、外すことにしました。 ―― 何がエックスモバイルの特典なのかを考えた結果だったということですね。 木野氏 その方が代理店スタッフの得意なことを生かせますし、お客さまにとってもベストな提案になります。(音声オプションを)分けることによって収益が減るということもなく、最低でも変わらないか、むしろ上がっています。

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