シリア暫定大統領がホワイトハウス訪問、対IS国際有志連合にも参加へ
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バーンド・デブスマン・ジュニア記者(ホワイトハウス)、ラフィ・バーグ記者
シリア暫定政府のアフメド・アル・シャラア大統領は10日、ホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と会談した。トランプ政権の高官は同日、過激派組織「イスラム国(IS)」に対抗するアメリカ主導の有志連合にシリアが加わると明らかにした。
シリアの指導者がホワイトハウスを訪れるのは、1964年の独立以降で初となる。アル・シャラア大統領は米FOXニュースの取材で、この訪問はシリアとアメリカが協力する「新時代」の一部だと語った。
シリアは、ISの残存勢力を排除し、中東への外国人戦闘員の流入を食い止めることを目的とした国際有志連合の、90番目の加盟国となる。
トランプ政権の高官はまた、米財務省が国務省および商務省と連携し、シリアに対する経済制裁を解除するための新たな措置を発表する予定だと述べた。また、「投資家に対し、コンプライアンスの明確化」を行うとした。
さらに、一連の措置の一環として、対シリア制裁の裏付けとなっていた「シーザー法」の執行停止を180日間延長する。
シリアとアメリカの外交関係は2012年以降、停止されていたが、アメリカは今後、シリアが首都ワシントンに大使館を再設置することを認める方針。
今回の会談は、5月の湾岸協力会議(GCC)における非公式会談、9月の国連総会期間中の夕食会に続き、両首脳による3度目の会談となった。
トランプ氏は会談から数時間後、大統領執務室で記者団に対し、「我々はシリアが国として大いに成功することを期待している」と発言。「この指導者ならそれができると思っている」、「本当にそう思う」と、トランプ氏は述べた。
アル・シャラア氏のホワイトハウス訪問は、かつてジハーディスト(聖戦主義者)だった同氏の、大がかりなイメージ転換の締めくくりとなった。
アル・シャラア氏が率いてアサド政権を倒したイスラム組織「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、シャーム解放機構)」はかつて、イスラム武装組織アルカイダの直系組織だった。アルカイダは、2001年9月11日の米同時多発攻撃をはじめとする、多数の攻撃を首謀した。HTSは2016年に、アルカイダとの関係を断った。
HTSは4カ月前まで、アメリカ政府によって正式にテロ組織と見なされていた。また、アル・シャラア氏にも1000万ドルの懸賞金がかけられていた。
しかし、暫定大統領に就任して以降のアル・シャラア氏は、13年におよぶ内戦の後、外国の支援を受けながらシリアの再建を目指す中で、自身のパブリック・イメージを軟化させる努力を続けている。
トランプ氏は10日、アル・シャラア氏について、「彼の過去は厳しいものだ」と述べた。「そして率直に言って、そういう厳しい過去がなければ、とてもではないが成功できなかったと思う」。
FOXニュースのインタビューの中でアル・シャラア氏は、トランプ氏との会談で、自分の過去については話し合わなかったと述べた。その代わりに、シリアの「現在と未来」に焦点を当てたという。同氏は、シリアがアメリカの「地政学的」かつ経済的なパートナーだと語った。
アル・シャラア氏は、人権侵害を行った治安部隊の構成員を一掃すると誓っている。
一方トランプ氏は、アル・シャラア氏を支持すると繰り返しており、同氏を「若くて魅力的な人」や「戦士」と呼んでいる。
トランプ政権は当時、シリア新政府の行動を監視するとし、これには「イスラエルとの関係正常化に向けた措置」や、シリア国内で活動する「外国人テロリスト」および武装組織への対応を含むと述べていた。