100%カカオを食べた後だとすべてのチョコレートが甘い :: デイリーポータルZ

この前、ハワイのチョコレート工場に行ってきた。

オアフ島の北部に「ワイアルア・エステート・コーヒー&チョコレート」という工場兼ショップがあります。

店の裏手ではカカオが干されていて、かいだことがないにおいが充満している。

本物の生カカオもありました。 

ショップで売られているチョコたち。75%カカオのチョコ、95%カカオのチョコ、100%カカオ(つまりカカオ)があります。

せっかくなので100%カカオを買いました。

かなり気になったので、買って帰ってみんなに食べてもらうことにした。

100%カカオは苦いだけでなくすっぱい

こちらが今回100%カカオを食べさせられる人たち。

今回準備したチョコレート。比較用に日本で売っていた100%チョコレート(カカオマスというらしい)も準備した。

最初に100%カカオにチャレンジするのはりばすとさん。

りば:この皮を剥けばいいのかな

石川:なんか黒いな

とり:黒いナッツって感じですよね

ナッツのようにバリバリ皮を向いていく。

りば:これ、チョコのにおいしますよ!

まい:チョコのにおいってカカオのものだったんだ

りば:じゃあ、食べますね

りばすとさん「苦い!!」

りば:待って、苦い。いや、すっぱい?

まい:初めての味にりばすとさんが混乱してる

りば:うーんこれ、あれですね

りばすとさん「チョコレートの味じゃないな」

まい:カカオなのに...

りば:チョコレートにない味があるんですよ。なんか酸っぱいんです

「苦い」「すっぱい」というりばすとさんの感想におびえつつ、続いてはとりもちさんがチャレンジ!

食べた瞬間「ん?」の顔になるとりもちさん。

とり:......なるほど。

まい:なるほど??

とり:苦いのもあるんですけど、けっこうすっぱい、いやだいぶすっぱいです

「すっぱいんですよ」「いや本当にすっぱいんです」を連呼する先攻のふたり。

とり:においはチョコレートなんですよ!

りば:わかる、しかも高級なチョコレートのにおい

とり:でも、かめばかむほどすっぱいんです

ふたりの感想に不安になりつつ、まいしろがチャレンジ。なかなかむけない。

最初の感想は「苦い!」だったが.....。

まい:......待って、すっぱいの来た

りば:そうなんですよ!あとから酸っぱいんですよ

まい:あ、これすっぱい。すっぱいな

「食べたことがない酸っぱい」「発酵品や柑橘系とは違う”すっぱい”がある」カカオには未知のすっぱいが詰め込まれている。

まい:すっぱいことにも気を取られるけど、それはそれとして苦いんですよね

石川:ローストされてるから苦いっていうのもありそうですね

確かに生ではなくローストされた見た目をしている。カカオというよりこのローストが「苦い」を生み出しているのかもしれない。

最後は石川さん。普段からハイカカオチョコを食べまくっているらしいのでいけるかも?

石川「うーんこれは...」

石川:チョコレートとは違うけど、普通に食べれますね

まい:やっぱり普段からハイカカオを摂取してる人は舌が違う

石川:苦いしすっぱいけど、はるか遠くに「チョコレート」の味の残像がありますよね

「苦い」「すっぱい」を連呼する3人と、冷静にわずかな「チョコレート」を感じとった石川さん。これは普段から舌を作ってきた差なのか?!

カカオが想像以上に苦くてすっぱかったので、一旦お口直しで市販の95%のチョコレートを食べてみることにした。

りば:うわ、これチョコレートだ!

まい:めちゃくちゃ甘いよこれ!

とり:すっっごいおいしい

カカオのあとに95%を食べると、びっくりするぐらい甘くておいしい。とりもちさんも思わずこの顔。

まい:なんか95%のチョコ、すごく ”ミルクの味” がしませんか?

石川:成分表には「一部に乳成分を含む」としか書いてないですよ

とり:でも甘いミルクがいるんですよ

りば:これもうチョコレートというよりミルクだな

100%を食べたことで、普段感じたことがないチョコレートの「ミルク」の部分にかなり敏感になっている。

りば:うまいなこれ

まい:もしかしてチョコレートってカカオじゃなくてミルクがおいしいのかな

石川:そんなに入ってないんですけどね

とり:でも、これちょっとだけさっきの「すっぱい」がいませんか?

「確かに」

とり:あの「すっぱさ」がゼロになってないんですよ。少しある気がする

まい:チョコレートって実は全部ちょっとすっぱいのかも......

カカオを食べたことでチョコレートに入っているいろんな味に気づくことができた。カカオはすごい。

お口直しをしたところで、もうひとつ準備した「カカオ100%のチョコレート(カカオマス)」も食べてみることに。

まい:同じカカオ100%なのにさっきと全然形状が違う

りば:砕いて固めたんですかね

石川:材料はカカオ100%だけど、なにかを抜いてあるのかな

同じカカオ100%でも見た目はこの違い。いろんな憶測が飛び交った。

100%チョコレート(カカオマス)を食べてみたところ、「味が...見つからない...?」

まい:味を...感じない...?

石川:ピンポイントで「舌が感じられない味」を出されてる感じがしますね

りば:人間には感じられない味でできてる気がする

とり:四次元の味?

「味があるはずなのに感じられない」という新感覚におののく我々。

石川:ずっと「もうすぐ甘さが来そうなのに来ない」という期待をさせられながら食べてるんですよね

りば:「チョコの味から、この部分を切り取ったんだ!?」っていう味がします

とり:しかもずっとかみ続けるとまたあの「すっぱい」がじわじわ口に広がってくる

まい:普通のチョコからミルクと砂糖をひいた味なんですよねこれたぶん

この新感覚は、チョコレートの「ミルクと甘さ」以外の部分だけを詰め込んだ味なのでは?

結局我々が食べたものがなんだったのか知るために、終わったあとにチョコの製造過程を調べてみた。

ものすごくざっくりしたチョコの製造過程。購入した2つは、本当にチョコの製造過程のものっぽい。

どうやら今回食べたカカオ100%のアイテムは、「チョコを作る過程のもの」のことらしい。

100%のカカオを食べると「チョコレートにはミルクが入っている(のでおいしい)」「実はすっぱさがある」などなど、普段は知らなかったチョコレートのことがよくわかる。

チョコレートの解像度を高めたい人は、ぜひカカオありのままの味も試してみて欲しい。

試食会で食べた95%チョコレートがあまりにもおいしかったので、後日また食べたらめちゃくちゃに苦くてびっくりした。

 

カカオを食べるとチョコについて詳しくなれるだけでなく、それ以外のチョコレートを甘くしてくれるのだ。

 

とびきり甘いチョコを楽しみたいなら、先にカカオを食べてからにしよう!

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ 「100%チョコレートを買ってきたんです」というまいしろさんが持ってきたのがもはやチョコではなくカカオ豆だったので思わず笑いました。後半、カカオマスを食べるところの「味があるはずなのにない味」がなかなか想像しにくいと思いますが、食べてみるとまさにそんな味なんです。ぜひ体験してみてほしい!(石川)

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