ウクライナとロシアの和平合意、領土の譲歩が必要-バンス氏

米国はロシアとウクライナに対し、和平合意に向けた道筋に関する「極めて明確な提案」をしたとバンス米副大統領が述べた。「双方はいまや、米国の提案に同意するか、米国がこのプロセスから離脱するか決断すべき時だ」と続けた。

  バンス氏は23日、訪問先のインドでタージマハルを見学した後に記者団に対し、「現在の戦線か、それに近いどこかでこの戦争に新たな線が最終的に引かれることになると思う」と発言。それはウクライナとロシアの両国が、現在支配する一部地域を放棄する必要があることを意味すると語った。

  現在の戦線で戦争を凍結すれば、ロシアよりもウクライナにはるかに大きな犠牲を強いる。ロシアは2014年以降、クリミアを含むウクライナの南部と東部の一部領土を占領しており、ウクライナは全ての領土の奪還を目指している。

バンス米副大統領とその家族(23日、タージマハルで)

  ブルームバーグニュースはこれに先立ち、米国は和平合意が結ばれる場合にロシアのクリミア支配を認め、対ロシア制裁を緩和する用意があると報じた。ウクライナのゼレンスキー大統領は22日、同国がロシアのクリミア支配を認めることはないと言明した。クリミアは国際的にウクライナ領として承認されている。

  バンス氏は「一定の領土交換が必要になるだろう」と述べ、国境が現在の前線と正確に一致しなくてもよいが、殺りくを止めるためには双方が「武器を置き、これで状況を凍結し、より良いロシアとより良いウクライナを築くためのビジネスに着手する必要がある」と続けた。

  トランプ米大統領は先週、合意を近く達成できないならウクライナの戦争終結を目指す取り組みから離脱する用意があると警告した。ロシアのプーチン大統領と既に3度会談したウィトコフ米特使は、週内に再びロシアを訪れる。同特使は前回の会談を「納得のいく」内容だったと表現した。

  バンス氏は和平協議を「楽観している」とし、全ての当事者が今のところ誠意を持って交渉に臨んでいると見受けられると語った。

  ウクライナ問題を巡っては、23日にウクライナと米国、欧州主要国の高官がロンドンに集まって協議を行う予定だったが、ルビオ米国務長官が出席を延期したため事務レベルの会合に格下げされた。

バンス氏発言、最後通告と捉えない-ロシア

  バンス氏の発言がウクライナを巡る交渉プロセスからの離脱を示唆する米政府の最後通告だとはロシアは見なさないと、ペスコフ大統領府報道官が述べた。ペスコフ氏の発言は国営通信社RIAノーボスチが伝えた。

  RIAノーボスチによると、戦争解決への仲介を米国は続け、ロシアはこれを歓迎するとペスコフ氏は語った。

  ただ、和平合意の草案はいかなる内容であれ公表するわけにはいかないとし、公表されてしまえば効力を失うと主張。ロシアは欧州諸国によるウクライナへの平和維持軍派遣に対し、反対を堅持しているともペスコフ氏は述べた。

原題:Vance Says Territory Concessions Needed for Ukraine-Russia Deal(抜粋)

Russia is Not Taking Vance’s Words as an Ultimatum: RIA(抜粋)

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