超満員だったのは? Jリーグ収容率ランキング51〜60位。J1〜J3全60クラブの最下位に沈んだのは?【2024年】
2024シーズンの明治安田生命Jリーグは全日程を終えた。スタジアムの盛り上がりを知る上で観客動員数は重要な指標だが、収容可能人数に対してどのくらい埋まったかというのも大事だ。スタジアムを満員にしたのはどのクラブか。今回は、2024シーズンにおけるJ1からJ3までの各クラブのリーグ戦収容率を計算。スタジアムを熱気で満たしたクラブを、ランキング形式で順位ごとに紹介する。
60位:カマタマーレ讃岐
本拠地:Pikaraスタジアム(22,338人収容) 平均入場者数:1,949人 平均収容率:9.1%
2024シーズンのカマタマーレ讃岐の平均収容率は9.1%と大きく低迷し、Jリーグ全クラブの中で最低の数字となってしまった。22,338人を収容する本拠地「Pikaraスタジアム」は、空席が目立つ試合が続いた。
最も収容率が高かった試合は、第37節のFC今治戦だった。この試合は本拠地最終戦かつ四国ダービーということもあり、4,579人の観客がスタジアムへと訪れたが、それでも収容率は20.4%と低い。
他に今治戦と同水準の集客に成功したのは、第31節ガイナーレ鳥取戦(収容率18.7%)のみであり、全体的な集客率の上昇が急務といえる。
J2リーグで戦っていた2017シーズンには3,805人の平均入場者数を記録しているように、集客率の上昇には成績の向上が不可欠といえるだろう。実際、讃岐はJ3降格となった2018シーズンを最後に、平均3,000人を超えたシーズンがなく、2024シーズンもその流れを断ち切ることはできなかった。
一時期リーグ最下位に低迷していた前半戦は2,000人を超えた試合が開幕戦のみと、ファンが集まらない試合が続いた。後半戦で盛り返したものの、ホーム19戦で3勝しか挙げられていない現状は変えていかなければならないといえるはずだ。
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2023年にJFLからJ3に参入し、Jリーグで2度目のシーズンを終えたFC大阪は、平均収容率9.8%を記録した。
2024シーズンはJ2昇格プレーオフに進出するなど、躍進の一年となったFC大阪。そんな同クラブの本拠地「東大阪市花園ラグビー場」で最も観客を動員した試合は、第15節の奈良クラブ戦だ。この試合では6,459人を動員し、24%の収容率を記録した。2023シーズンの最高収容率が17.2%(4,555人収容)だったことを考えると、確実に成長の跡が見られる。
こう見ると、2023シーズンから2024シーズンにかけては成績でも観客動員の面でも向上しているように思えるが、シーズン平均観客動員は300人ほど減少している。
これは使用したスタジアムが関係している可能性があり、2024シーズンは、たけびしスタジアム京都(京都府)や紀三井寺公園陸上競技場(和歌山県)など、大阪府外での試合も行われたことで、観客動員が落ち込んでしまったのかもしれない。
特にたけびしスタジアム京都で行われた2試合はどちらも1,000人以下となってしまい、ツエーゲン金沢との試合では766人しか動員することができなかった。スタジアム問題は、FC大阪にとって目下の悩みとなるだろう。
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Y.S.C.C横浜は2024シーズンのリーグ戦で19位に低迷し、J3・JFL入れ替え戦で高知ユナイテッドSCに敗れたことでJFLへ降格することになってしまった。そんなYS横浜の平均収容率は10.1%を記録している。
最も収容率が高かった試合は第34節の松本山雅FC戦で3,627人を動員し、収容率は23.4%を記録している。
リーグ戦に限らなければ、YBCルヴァンカップ2回戦のFC東京戦で4,083人を動員し収容率26.4%を記録。先述の高知との入れ替え戦では5,101人がスタジアムに訪れ、33%の収容率をマークしているように、注目度の高い試合では収容率は増加する傾向にあるようだ。
クラブ自体も徐々に注目度を増してきている。2022シーズン以降は3シーズン連続でシーズン平均入場者数を更新し、昨季も1,557人で最多を更新した。
それだけに、19位に終わりJFLに降格してしまったことは、YS横浜にとって大打撃といえる。試合ごとの収容率の減少は避けられず、JFLからの昇格条件である「ホーム戦の平均観客動員数2,000人以上」も、現状のYS横浜にとってより厳しい条件となるだろう。
再びJリーグの舞台へ舞い戻るためには、近年更新してきた入場者数を大幅に更新するような躍進が求められる。
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J2リーグに所属するロアッソ熊本の2024シーズン平均入場者数は6,177人となった。クラブの本拠地「えがお健康スタジアム」は収容可能人数が30,275人の大型スタジアムということも影響し、平均収容率という面では20.4%でJ2クラブの中で最低の数字となった。
最も収容率が高かった試合は、第34節の徳島ヴォルティス戦だった。この試合は熊本のクラブ創設20周年を記念したイベントが行われ、15,502人が来場。収容率も51.2%と上々の数字をマークした。
第13節の鹿児島ユナイテッドFC戦でも11,532人を動員し、38%の収容率を記録したが、1万人越えの試合はこの2試合のみ。大きなスタジアムがなかなか埋まらないシーズンとなった。
これには、シーズン中盤の低迷が大きく影響していると考えられる。第14節終了時点で降格圏内の18位に低迷し、ホーム戦19試合でわずか4勝とサポーターの期待を裏切る試合が続いた。最終的にリーグ12位まで順位を回復したものの、平均入場者数においては、天皇杯準決勝進出と躍進した2023シーズンに記録した6,278人から減少する結果となった。
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2024シーズンのテゲバジャーロ宮崎の平均収容率は21.7%となった。1,165人の平均入場者数はJリーグ全60クラブ中ワーストとなったが、平均収容率でも低い数字を記録してしまった。
最も収容率が高かった試合は、第25節のいわてグルージャ盛岡戦だ。本拠地「いちご宮崎新富サッカー場」は5,360人収容の小さなスタジアムだが、収容率39.6%となる2,126人のサポーターが訪れた試合となった。
第37節Y.S.C.C横浜戦も2,042人を集客し、38%の収容率を記録したが、2024シーズンにおいて2,000人以上を動員した試合は、この2試合のみとなった。
JFLからJ3に昇格して4年と、まだまだ伸びしろのあるクラブではあるが、1,552人を記録していた2023シーズンから平均入場者数が大幅に減少しており、この点は要改善だといえるだろう。
その要因はリーグ序盤戦の低迷にあるかもしれない。リーグ最下位まで順位を下げていた前半戦には観客数が1,000人を下回る試合が大半だった。順位を回復した後半戦は、それが3試合のみに減少しているように、チームの調子が観客数の増減に直結しているようだ。
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2024シーズンのJ3でリーグ13位に終わったガイナーレ鳥取は、平均入場者数2,434人を記録し、収容率21.7%をマークした。
リーグ戦で最も収容率が高かった試合は、第12節の大宮アルディージャ(現・RB大宮アルディージャ)戦だった。この試合はゴールデンウィークに行われたことも影響し、4,272人がスタジアムに来場した。その結果、35.6%の収容率を記録している。
しかし、鳥取が今季最も盛り上がった試合は大宮戦ではない。YBCルヴァンカップ2回戦は浦和レッズとの対戦となり、浦和の熱狂的なサポーターが多数詰めかけた。その熱に連動するように鳥取のサポーターも多数来場し、7,677人を動員する結果となった。この試合の収容率は63.9%となっている。
J3に降格してから11年目のシーズンを終えた鳥取だが、コロナ禍で減少した観客も次第に戻ってきている。今季は11シーズン中3番目に多い平均入場者数を記録した。
鳥取の当面の目標となるのは、クラブが最後にJ2で戦った2013シーズンに記録した平均入場者数4,097人を超えることだ。これは簡単なことではないが、リーグ戦の順位を2024シーズンの13位よりも上げることができれば、おのずと目標に近づいていくだろう。
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2024シーズンのJ3リーグを3位で終えたカターレ富山は、J2昇格プレーオフを勝ち抜き11年ぶりのJ2復帰を果たした。そんな富山の平均入場者数は4,092人となっており、平均収容率は22.0%を記録している。
特に収容率が高かった試合は第31節のFC今治戦だ。この試合は、J2自動昇格圏を争うチーム同士の直接対決となり、9,700人の観客がスタジアムを訪れた。その結果、この試合では52%の収容率を記録し、2024シーズンのリーグ戦で唯一収容率50%以上の試合となった。
富山は今治戦以外にも5,000人以上を動員した試合が4試合あり、リーグ戦における全てのホーム戦で2,000人を下回ることがなく、安定した集客を行うことに成功していた。順位が上がってきた後半戦の大半の試合では4,000人以上を動員している。こうしたチーム状況も合わさり、平均入場者数は昨季の3,444人から600人近く増加している。
J2昇格プレーオフ決勝の松本山雅FC戦では11,847人が来場し、収容率は63.7%を記録。このような注目度の高い試合で多くの観客を集めることが出来るのであれば、来季J2で戦う富山の観客動員が、2024シーズンから大幅に増加することは明白といえるだろう。