米中間選挙、民主党優勢でデータセンター規制に警戒 日経平均急落、キオクシア一時1万円割れ

連載中 マーケット・ダイブ 中山 桂一 楽天証券 トウシル&メディア編集部 編集担当

 11月4日の東京市場で半導体関連に売りが膨らみ日経平均は893円23銭安と、7月30日以来の安値に沈んだ。中間選挙で民主党が優勢と伝わり、米政治の不透明感や米国のデータセンター建設規制への警戒感が強まった。キオクシアホールディングスは一時節目の1万円を下回るなど不透明感がにじむ。今後も不安定な相場展開に注意が必要だ。

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 米中間選挙の開票が始まった11月4日の東京市場は狼狽(ろうばい)、一種のパニックともいえる相場展開となった。同日の日経平均株価は2日終値(6万3,081円86銭)を挟んで始まったが、午前に下げ幅を広げた。11月3日に投開票日を迎えた米中間選挙の各選挙区で民主党優勢との速報が伝わり、リスクを回避する動きが強まった。午後には下げ幅を縮めたものの、7月30日以来の安値に沈んだ。

日経平均は7月30日以来の安値

出所:QUICKより作成

 なぜ市場は慌てたか。一つは米政治を巡る先行き不透明感、いわばトランプ政権のレームダック( 死に体)への警戒感だ。これまではトランプ大統領率いる共和党が米連邦議会の上院と下院の過半数を占めていた。米議会で民主党が過半数優勢となると、トランプ政権が目指す積極的な財政出動や社会保障の削減、減税法案などが議会で阻まれるリスクが高まるとの見方が強まった。

 グローバルマーケットアナリストの三浦豊氏は「事前に中間選挙は民主党優位との見方があったものの、接戦との見方が多かったのではないか」と指摘する。日本時間4日午前に開票速報が伝わると、「想定より『共和党の負け方がひどい』と驚きが広がり、株式への売りが強まった」とみる。

データセンター規制にも警戒、関連株も下落

 もう一つは全米のデータセンター建設のモラトリアム(一時停止・凍結)への警戒感だ。全米では人工知能(AI)の普及・発展に伴い、各地でデータセンターの建設が予定されている。一方、データセンター建設に伴う電力代金の上昇など有権者の不満が高まっている。民主党の議員を中心にAI向けデータセンターを対象とした課税・規制案や規制論が打ち出されているため、市場の警戒感も強まった形だ。

 特にテキサス州はデータセンター建設予定が多い。中間選挙の州知事選では民主党のジーナ・ヒノホサ氏が勝利を確実にしたと伝わり、州としてデータセンター開発に規制がかかるとの警戒感も強まったとの見方もある。

 4日の日経平均採用銘柄の下落率上位にはAI・データセンター関連銘柄が並び、投資家の警戒感が示されている。日経平均採用銘柄では AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要拡大への期待が大きい太陽誘電(6976)が8.31%安だった。データセンター向けで光ファイバーなどの需要が見込まれる住友電気工業(5802)が7.24%安、同業の古河電気工業(5801)が6.18%安と電線関連も大きく下げた。

日経平均採用銘柄の下落率上位15社

出所:QUICKより作成

  一方、午後になると日経平均やAI・半導体関連は下げ幅を縮めた。各種報道で米連邦議会の上下院ともに民主党が過半数を獲得すると伝わったタイミングだ。ある国内の機関投資家は「一旦は出尽くしの動きになった」とみる。

4日の日経平均は午前に大きく下げ、午後は下げ幅縮める展開

出所:QUICKより作成

 グローバルマーケットアナリストの三浦豊氏は目先の相場について「自律反発を挟みながら不安定な動きになりやすい」と想定する。AI・データセンター規制への逆風、トランプ政権による関税強化や再び強硬にイラン攻撃に踏み切るなどさまざまなリスクを懸念する。

 まず初動として米国の政治、AI・データセンター関連の先行き不透明感を織り込んだ東京市場。AIの発展・需要は強いとの見方も根強いが、中間選挙の結果は投資家心理に「もや」をかける形となった。今後は実際にどのように政治が動くか、注意深く見守る必要がありそうだ。

キオクシア一時1万円割れ、需給面も重荷

 4日には2026年前半のスター銘柄でもあったキオクシアホールディングス(285A)の株価が11月4日に一時1万円の節目を下回る場面があった。中間選挙の結果を受けたデータセンター向けの業績への警戒感のほか、信用残の高さという需給面の重荷もある。

 同社が10月30日に発表した10~12月期の連結業績見通し(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前年同期比4.6倍の2兆5,000億円、営業利益は14倍の1兆9,950億円、純利益は15倍の1兆3,600億円との見通しを示した。AIデータセンター向けの製品販売の好調を見込む。  

 あるヘッジファンドのアナリストは「業績というファンダメンタルズを無視した動き」と指摘する。背景の一つは信用残の多さだ。信用買い残とは信用取引を使って株式を買い付けたものの、まだ売却(決済)していない残高を指す。10月30日時点の金額ベースの信用買い残は8,698億円にものぼる。一方の信用売り残は198億円となり、「信用買い残」を「信用売り残」で割った信用倍率は43.86倍と高い。

 一般的に信用倍率は10倍を超えると過熱状態といわれる。株価が下がり信用買いをしている投資家の含み損が膨らむと、含み損の処理や追い証などが出て株価の下落要因になりやすい。業績としては好調で、アナリストが示す目標株価なども現状より高い水準にある。それでも短期的にはこうした需給が一つの重荷となる場面が続きそうだ。

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中山 桂一 楽天証券 トウシル&メディア編集部 編集担当

 大学卒業後、金融情報会社QUICKに入社。データ関連事業に従事した後、日本経済新聞社の商品部、マーケット速報を担う日経QUICKニュース社に出向。約10年にわたり株式マーケットを中心に取材・記事を執筆し、日経CNBCでは解説も担当。QUICKでは金融プロ向けコメントサービスなどにも従事。2026年よりトウシル編集部に所属し、レポート編集や動画出演、独自記事の執筆を担当する。

記者経験を持つトウシル&メディア編集部の中山桂一がマーケットのトレンドや制度変更、資産運用で重要な視点を投資初心者にもわかりやすく伝えます。  取引所の制度、複雑なマーケットの仕組みや動き、トレンドを取材や分析を通じて投資のヒントになるようにかみ砕いて発信していきます。「今」起きている事象だけを切り取らず、「過去」に何が起き、どのような変遷があり、「未来」に何が広がっていくか読み解きます。

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