ウクライナへの停戦後の軍隊派遣、26カ国が用意 マクロン氏が発表

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画像説明, ウクライナのゼレンスキー大統領(左)は、フランス・パリのエリゼ宮(大統領官邸)で、マクロン仏大統領(右)らと首脳会合に参加した(4日)

ウクライナを支援する「有志連合」35カ国が4日、フランス・パリで首脳会合を開いた。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、欧米26カ国が、ウクライナでの停戦が合意された翌日に、ウクライナへ「陸、海、空から」軍隊を派遣することを正式に約束したと明らかにした。

会合のあと、マクロン氏は、「再保証部隊」に対するアメリカの支援が数日中に最終決定されるだろうと述べた。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は最近、同国の支援は「おそらく」空からになるだろうと示唆している。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、トランプ氏と「ウクライナの空を最大限守る」ことについて話したと述べた。

一方で、戦闘終結への期待は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が先月、米アラスカでトランプ氏と会談して以来、薄れている。

フィンランドのアレクサンドル・ストゥブ大統領の電話記録によると、トランプ氏は、欧州連合(EU)がアメリカと協力し、ロシア産石油やガスの輸入と、ロシアの「経済的手段による戦争マシン」を停止させるべきだと述べたという。

EU加盟27カ国は、2027年末までにすべてのガスと石油の輸入を終了させるとの目標を掲げている。ホワイトハウスの高官は、ロシアは燃料の販売でEUから1年間で11億ユーロ(約1900億円)を得たとされているが、実際にはこれよりはるかに多いとされる。

イギリス首相官邸の報道官によると、キア・スターマー首相は、西側の支援各国はこれによって、ウクライナについて「破れない誓約」を交わしたとして、アメリカもこれを支援していると述べた。また、戦争を終わらせるよう、ロシアに圧力をかける必要があると述べたという。

ウクライナでの和平合意が成立した場合に、同国に軍隊を派遣すると公言している国はほとんどなく、アメリカもすでに派兵を否定している。ヨーロッパの外交官らは、この時点で派兵を約束するとそれはむしろ、プーチン氏の西側に対する主張を助けることになるだろうとしている。

ロシアは、西側諸国はウクライナに派兵すべきではないと明言。西側ではなく、「保証人」の役割を担う国からの派遣にするよう力説している。ウクライナとその支援国は、この案を拒否している。

マクロン大統領は、停戦交渉を模索するその最中にロシアがウクライナに軍隊を派遣し続けていると批判した。

ウクライナ北部では4日にも、地雷除去作業をしていた2人がロシアの攻撃で殺害された。

ウクライナとその支援国は、全般的な和平合意を目指す前に、まずは停戦に合意すべきだと考えている。ロシアはこれに反対し、完全な和平合意の前に作戦を終了させることはないと主張している。

この日の会合後、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、優先事項は、ゼレンスキー氏が参加する首脳会談で停戦を確保することだと主張。停戦合意を確保したうえで、「強力な安全の保証」を提供すべきだと述べた。

ロシアが和平合意前の停戦を拒否していることについて、仏大統領府の関係者は4日の会合を前に、完全な和平合意なしに停戦が続いた例が、歴史的にいくつかあるとした。

この関係者は、北朝鮮と韓国の間の境界線を指摘。強力に武装している同盟国アメリカの部隊が、北朝鮮へのシグナルとして機能し、停戦が何年も続いているとした。そして、このコンセプトはウクライナにとって非常に重要だと付け加えた。

プーチン氏とゼレンスキー氏による直接会談は、トランプ氏が先月ほのめかしたが、その可能性はどんどん低くなっている。

プーチン氏は今週、ゼレンスキー氏が会談のためにモスクワに来ることもできると述べたが、ウクライナ側は「受け入れられない」案だとしている。ゼレンスキー氏はプーチン氏の発言について、いかにロシアが会談を望んでいないかを表していると述べた。

北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は4日、西側諸国が軍隊をウクライナに派遣することについて、ロシアは拒否権をもたないと強調。「ウクライナへの派兵についてロシアがどう考えるかなど、私たちは気にしない。ウクライナは主権国家だ。ロシアが決めることではない」と述べた。

一方、トランプ氏は3日の米CBSニュースの取材で、戦争終結の合意実現を目指した取り組みを続けているとし、プーチン氏とゼレンスキー氏の両者と良好な関係を維持していると述べた。

トランプ氏は、「すべて解決できると思う」とも話した。

イギリスのジョン・ヒーリー国防相はトランプ氏について、「プーチンを会談に引き入れた」、「いかなる選択肢も閉ざしていない」とたたえている。

ウクライナ政府の首脳陣は4日、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使とパリで会談した。

プーチン氏は同日、ウクライナが合意に応じなければ、ロシアは「すべての課題を軍事的に解決する」用意があると警告した。

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