豪、次期フリゲート艦に三菱重を選定 日本9年越しの巻き返し
次期フリゲート艦計画は、2023年に米英と合意した原子力潜水艦計画に続く大規模プロジェクト。オーストラリア政府は24年、最大100億オーストラリアドル(約9500億円)を投じて既存艦を置き換えると発表した。11隻のうち最初の3隻は日本で、その後は西オーストラリア州で建造する。1隻目は29年の配備と30年の運用開始を目指す。
マールズ氏は「わが国の海軍に計画能力を与えるという点で非常に重要になる。インパクトの大きい計画は戦略的課題の中核だ」とし、「オーストラリアと日本の二国間関係において非常に重要な瞬間だ」と述べた。
「オーストラリアの戦略的状況に対応するための現在および将来必要な能力への投資に政府が重点を置いていること」を強調すると説明。ドイツ案を「非常に素晴らしかった」と評価する一方で、日本が提案したもがみの改良型が「オーストラリアにとってベストなフリゲート艦」だと語った。
もがみの改良型については、長距離ミサイル発射可能で、航行距離が最大1万カイリと豪海軍が運用するアンザック級フリゲート艦の6000カイリ程度を上回ると説明。またアンザック級より少ない乗員で運用可能だとした。
日本にとって完成品の武器輸出は、20年に決定したフィリピンへの警戒管制レーダー供与に次いで2件目。14年に武器輸出の要件を緩和して以降で最大の案件となる。日本は過去にオーストラリアの潜水艦建造計画にも入札したが、16年にフランスに敗れた経緯がある。
5日午前に会見した中谷元防衛相は「日本の高い技術力への信頼性、自衛隊とオーストラリア軍との相互運用性の重要性が評価された証」だとし、「日本にとって特別な戦略的なパートナーである豪州との安全保障協力をさらなる高みに引き上げる大きな一歩になる」と語った。
両国は26年初めに正式に契約を結ぶ見通し。中谷氏は最終的な価格、完成後の維持整備、現地生産の継続性を課題に挙げた。日本は今年度の防衛予算で、海上自衛隊向けの新型護衛艦の調達費用として3隻で3148億円を計上した。
三菱重工の西尾浩・最高財務責任者(CFO)はこの日午後の決算会見で、現地での建造方法や受注額などの見通しについて「これから交渉して決めていく」と説明。「(日本で造った)船の修繕をまずオーストラリアでやっていくことを考えている」と話した。
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