これが今年の最強GPU RTX 5090。その価値は、新技術「DLSS 4」にある
CES 2025で発表されたNvidiaの最新GPU、RTX 50シリーズ。性能も価格もサイズも、前モデルより大きくアップしました。そのパワーを実際に目の当たりにする体験会に、米Gizmodoが参加してきたそうです。どのように感じたかを翻訳してご紹介します。
フレームレート(FPS)をいかにしてUPさせるか…。その課題に、GPUメーカーは常に取り組んでいます。一方、ユーザー側はFPSにどこまでお金を出せるかが問題で、そのバランスを業界は探っています。が、Nvidiaがユーザーに問いかけるのは、FPSと価格だけでなく、「AI生成フレーム」を許容できるかどうかもあるのかもしれません…。
メディア関係者限定のRTX 50特別体験会で、Nvidiaのマルチフレーム生成技術を目の当たりにしてきました。FPSという点だけでみれば、RTX 50シリーズはここ数年のゲーミングPCにおいて転換期を感じさせるプロダクトです。
私が触ったのは、シリーズ最高位モデルのRTX 5090が搭載されたマシン。CUDAコア数が2万1760で、VRAMは32GB! 発表会の中心は、グラフィック性能よりも生成AI処理能力でした。Nvidia開発の演算技術はTensorコア第5世代で、その性能は3352 TOPS。RTX 5090のターゲットは、まちがいなくAI開発者とガチゲーマーです。
では、(AI開発者はともかく)ガチゲーマーにとって、RTX 5090はどんな魅力があるのでしょう? ゲーム体験はどう変わるのでしょう?
Nvidiaがアピールしたいのは、RTX 5090と「フレーム生成」との合わせ技。AIを活用して低解像度のフレームを高品質にアップスケールしパフォーマンスを向上させる技術「DLSS 4」を用いてフレームレートを劇的に向上させる、というアプローチをとっています。Nvidiaいわく、たとえばゲームタイトル『スター・ウォーズ 無法者たち』の場合、RTX 5090単体の最大FPSは、4K画質で50FPS。これが、DLSS 4により250 FPSにまであがるといいます。しかも、レイテンシー(遅延)は通常よりも下がるとか…。そう、まるで魔法のような技術なのです。
DLSSって? マルチフレーム生成って?
Photo: Kyle Barr / GizmodoDLSSとは、Nvidia独自技術であるディープ・ラーニング・スーパー・サンプリング(Deep learning super sampling)の頭文字をとったもの。最新版はDLSS 4。簡単にいうと、素のゲームの状態より、映像がよりキレイにぬるぬるになります。
AIのディープラーニング技術を用いることで、フレームを生成し入れ込むことで、フレームレートを高め、かつレイテンシーは低減させる高解像度アップスケール技術です。生成モデルを使い、次のフレームを予想し、ノーマルフレームに生成した新たなフレームを差し込みゲーム画像をレンダリングします。
今までのDLSSモデルでもフレームレートを向上させていましたが、最新版のDLSS 4は大幅に性能アップ。前モデルよりも4割スピーディにフレームを生成。しかも、レンダリングした1シーンから複数のフレームをモデリングし、描画までの時間、レイテンシに影響することなく、次のレンダリングフレームの前に差し込むことができるといいます。
Nvidiaいわく、DLSS 4をフル活用できるゲームならば、GPUは5つのAIモデルを同時に使用可能。これがマルチフレーム生成を可能にします。
体験会で『サイバーパンク2077』の映像を見ましたが、90 FPSがマルチフレーム生成で170FPSまで上がった画は圧巻。前モデルとなるRTX 4090搭載PCで『Alan Wake 2』をプレイした場合、レイ再構成技術を使って130FPSまで出せますが、これがRTX 5090ならマルチフレーム生成で300FPS近くまであがるそうです。
AI生成されたフレームってどんな感じなの?
Photo: Kyle Barr / Gizmodo技術自体は素晴らしいの一言ですが、問題はゲーマーがこれをどう感じるのか。つまり、AI生成されたフレームはありかなしか、という話。本当にレンダリングされた画像とは異なるので、これを偽のフレームと捉えるかどうかです。いや、偽フレームというと語弊がありますが、パソコンのプロセッサでデータからレンダリング処理されたフレームではないのは事実であり、マルチフレーム生成は誤解が生じやすいギミックではあります。
実際に体験会では、画像の光源に変化を感じたという人もいました。個人的には、生成フレームありのゲーム画面のディティールとなしの画面のディティールに大きなちがいは感じなかったので、個人のこだわりにもよるかもしれません。フレーム生成してもレイテンシに影響がないというのがNvidiaの努力であり、アピールしたい点かと思います。これは、Nvidiaのレイテンシ低減技術Reflex 2の頑張りも大きいでしょう。
ゲーム体験でいうと…。『黒神話:悟空』のプレイでは90FPSとより高いフレームレートで比較すると、まぁスムーズかなという程度であまり差は感じず。『マーベル・ライバルズ』をプレイしたところ、170FPSと230FPSで明らかに違うことがわかりました。ただ、この差に感謝できるのは、シューティングゲーム系をするプロゲーマーだけかもという気もして…。実際どれほどゲーム体験に差を感じるかは、もう少し長時間プレイしてみないと本当のところはわかりません。
マルチフレーム生成対応のゲーム
Photo: Kyle Barr / GizmodoNvidiaいわく、マルチフレーム生成に対応するゲーム・アプリは75タイトルほど。『DOOM: The Dark Ages』『Dune: Awakening』『Jusant』『Deep Rock Galactic』などが含まれます。
現時点では、デスクトップパソコンでゲームする場合、Nvidiaの最高峰はRTX 40でした。AMDやIntelも低価格から中価格帯のGPU市場で切磋琢磨しているものの、ベストとなるとやはりNvidia。
DLSSアプデで恩恵を受けるタイプのゲーマーは?
RTX 5090を導入しようと思えば、少なくとも電力575Wの電力ユニットが必要。これを、AMDやIntelのトップクラスCPUと組み合わせるのが理想なものの、その本当の相性がわかるのはまだこれから。
最新かつトップofトップのRTX 5090は馬力もサイズもコストも大きいので、採用するには自分の中でしっかりと理由をもってコミットすべきでしょう。リフレッシュレート240Hzのモニターすでに持ってるって人は、欲しくなっちゃうかも。
RTX 50シリーズが出れば、RTX 40シリーズは1つ前のモデルになるものの、十分性能のいいGPUであることに変わりはありません。最大の鍵となるのは、40シリーズはリモデルしたシングルフレーム生成に対し、50シリーズはマルチフレーム生成だということ。これと価格を天秤にかけて選ぶのはあり。
同じ50シリーズでも、今回の体験会ではよりお手頃なRTX 5060やRTX 5050は体験できず。生計を立てるほどのガチゲーマーでなければ、マルチフレーム生成よりもコストの方が魅力かもしれません。ちなみに、ラインナップの真ん中に位置するRTX 5070はマルチフレーム生成対応です。