仮想通貨「$トランプ」、取引手数料は計1億ドル近くか
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)情報会社3社の推計によると、トランプ米大統領の公式仮想通貨「$トランプ」を取り扱う業者が1月30日までに取引手数料として総額8600万―1億ドルを稼ぎ出したもようだ。これまで報道されていた水準を大きく上回る。
1月17日に取引が開始された$トランプは同19日までに時価総額が145億ドル余りと、ピークに達した。その後は大幅に下落し、ピークの3分の1未満の水準に沈んでいる。
マークル・サイエンスやチェイナリシスなど暗号資産情報会社3社はロイターの委託を受け、$トランプが関連する全ての取引を示すブロックチェーンを分析した。
$トランプを取り扱う業者の1社は、トランプ氏が保有する企業「CICデジタル」。$トランプの公式ウェブサイトは、CICデジタルは$トランプの「取引業務から生じる収入を受け取る」と説明している。ロイターは、取引手数料がトランプ氏個人の収入として計上されるかどうか、また計上される場合はどの程度の金額になるかについて、断定できなかった。
チェイナリシスによると、少なくとも50の大口投資家が$トランプの取引で、それぞれ1000ドル超の利益を確保している。一方、約20万の仮想通貨ウォレットは、$トランプの取引で損失を被っている。仮想通貨ウォレットは大半が小口投資。
ホワイトハウスはトランプ氏のデジタル金融テクノロジーに関する大統領令について説明したファクトシートに対するロイターの質問に回答したものの、取引手数料についての質問には答えていない。
トランプ氏は、暗号資産に対する規制を改革し、暗号資産の保有を促進することにより、初めての「仮想通貨大統領」になるとともに米国を「地球上の暗号資産の中心地」にすると表明している。トランプ政権の複数の高官や閣僚らは暗号資産を保有、もしくは暗号資産業界と結び付いている。
トランプ氏の暗号資産事業を巡る巨額の資金や事業の不透明な実態は、倫理の専門家や民主党から批判を浴びている。
コロンビア大のリチャード・ブリッフォールト教授(法律学)は「トランプ氏が実質的に自分自身のビジネスを規制する権限を持っていることに、倫理上の懸念が生じている」と問題視した。
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Tom Wilson covers investigative stories across finance and business. He previously led Reuters' coverage of cryptocurrencies, and was the news agency's Reporter of the Year 2022 for his series on the Binance exchange. In a decade at Reuters, he worked in Tokyo for four years, uncovering abuses in Japan's immigration system and covering the tobacco giant Philip Morris. His work has won prizes from the Gerald Loeb Awards, the Overseas Press Club and the Society for Advancing Business Editing and Writing.