ロシア軍、ドローン回避に「バイク部隊」を増強 高い機動性も損耗も激しく

バイクに乗って移動するロシア軍の兵士=3月、ロシア・クルスク州/Tatyana Makeyeva/AFP via Getty Images

(CNN) ウクライナ情勢をめぐり、ロシア軍が新たな侵攻を計画するなかで、前線では二輪や四輪のバイクによる小部隊の活用を増やす見通しであることがわかった。ウクライナ軍や専門家が明らかにした。

ロシア国防省は26日、部隊が2、3台のバイクの集団に分かれて戦術訓練を行う様子を撮影した動画を公開した。動画には音楽に合わせてバイクがコースを進む様子が捉えられている。

ロシア軍は1年以上前から、ウクライナ軍のドローン(無人機)からの攻撃を回避するため、前線の複数の地域でバイクを活用してきた。米シンクタンク戦争研究所(ISW)は最新のロシアの動画について、ロシア軍が組織的な攻撃でのバイクの活用に関する戦術的な方針を策定している公算が大きく、バイクの増強を準備している可能性があるとの見方を示した。

引き渡しの式典でバイクをトラックに積む様子=2024年11月、ロシア・ロストフナドヌー/Sergey Pivovarov/Reuters

ウクライナは、ロシア政府が停戦合意前にさらなる領土の獲得を試みようとして、今後数カ月以内にロシアによる大規模な攻勢が行われると予測している。

ウクライナ軍は、こうしたバイクによる攻撃を「バンザイアタック」と呼んでいる。ウクライナ軍の指揮官の一人は先に、バイクは素早い電撃戦のために設計されると述べていた。バイク部隊は素早く前進して前線の背後に回り込むことができるものの、ロシア側の損耗は非常に大きかったという。

戦略コミュニケーション・情報セキュリティーセンター(CSCIS)は、バイク部隊について、ロシア軍が大量の攻撃用装備を保有していないことを示す一方で戦況への適応でもあると指摘した。

ウクライナ軍は26日、ドネツク州の前線に位置する集落へのロシア軍の攻撃を撃退したと明らかにした。バック15台を破壊したほか、ロシア兵約40人が死亡したという。軍はドローンが田園地帯で複数のバイクを攻撃する映像を公開した。

ウクライナ軍は2月、過去1年にわたりほとんど動きのなかったドネツク州チャシブヤールの周辺で、ロシア軍が四輪バイクの使用を増やしていると報告していた。

ウクライナ軍の報道官は、ロシア軍によるバイクの活用について、良い面と悪い面の両方があると指摘した。バイクのスピードと機動性がウクライナ軍のドローンを回避するのに役立った一方、バイクの騒音によってドローンの音が聞こえなかったという。

バイクにまたがる引き渡し式典の参加者=2024年11月、ロシア・ロストフナドヌー/Sergey Pivovarov/Reuters

ロシア国営メディアはバイク部隊の優位性を積極的に宣伝している。「ロシア・トゥデー」は先に、バイク部隊が地雷の埋設を行っていると伝え、第39独立自動車化狙撃旅団の兵士にインタビューした。

この兵士は「我々の最大の利点は(敵の陣地に)直接突入して全員を無力化できることだ。敵はバイクのごう音を聞き、パニックに陥る。彼らはただ陣地を放棄して逃げ去るだけだ」と述べた。

ロシア軍は負傷者の搬送にもバイクを活用している。ロシア国防省系メディア「ズベズダ」はSNSで、クルスク州で、ロシア軍が全地形対応バイクを使って民間人や負傷兵を搬送していると伝えた。

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