【NASA閉鎖が探査機「ボイジャー」の運用に影響?】職員の80%に及ぶ1万5000人が一時休職中(スペースチャンネル)

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ボイジャー 出典:NASA

1977年に打ち上げられた探査機「ボイジャー」が、いま再び試練を迎えています。アメリカ政府の予算不成立によるNASAの“シャットダウン”と、予算削減案がボイジャーの運用に影響を与える可能性が出ているのです。

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■ 政府閉鎖でNASAが一時停止、「閉鎖中」と公式発表

ケネディ宇宙センター 出典:Kim Shiflett

米国では2025年10月1日、議会が予算案とつなぎ予算の承認に失敗し、約6年ぶりとなる政府シャットダウンに突入しました。NASAもその影響を受け、公式サイトには「現在閉鎖中(closed)」との告知が掲載され、多くの業務が停止しています。

現在は「生命と財産の保護」に関わる最低限の業務のみが継続されており、ISS(国際宇宙ステーション)で活動する宇宙飛行士の安全管理や、小惑星の監視など地球防衛関連の観測が優先されています。一方で、惑星探査・宇宙科学研究・広報活動などはすべて停止。NASAのSNSやニュース更新も止まったままです。

■ ボイジャー1号:無給で働く科学者たちが守る“星間の灯”

ボイジャーのイメージ 出典:スペースチャンネル(AI)

この停止の波は、人類史上最も遠くを航行する探査機「ボイジャー1号」にも及んでいます。同探査機は太陽系を脱し、現在は秒速17km(時速約6万km)で星間空間を航行中。地球からの距離はすでに240億kmを超えています。

しかし、米WIONの報道によると、NASAの予算が一時凍結されたことで、ボイジャー運用チームの給与支払いも滞り、一部職員は無給または有給休暇扱いで任務を継続していると報道されています。それでも、彼らは地球から数十億km先を漂う探査機の通信を監視し、データ喪失を防ぐために勤務を続けています。「私たちは止まれない。50年間つないできたデータの連続性を失うわけにはいかない」と、ある技術者は匿名で語りました。

■ 「26%の予算削減案」がボイジャー計画を直撃?

JPL運用ルーム 出典:Bill Ingalls

さらに追い打ちとなっているのが、ボイジャー計画の26%削減案です。英The Registerの報道によると、これはNASA傘下のジェット推進研究所(JPL)関係者による内部情報で、年間約500万ドル(約7億円)規模の運用費がさらに減額される可能性があるといいます。

トランプ政権の宇宙政策は、「有人月探査(アルテミス計画)」や国家威信につながる新ミッションに重点を置き、無人探査機や天文観測の“延命費用”には冷淡という特徴があります。そのため、ボイジャーのように成果は大きいが「古い・費用対効果が見えにくい」探査機は、優先度が下げられる可能性があるのです。

ただし、それら報道はあくまで関係者発言であり、「ボイジャー計画」に対して具体的に26%減らすという案が正式に挙がっているという文書は公開されていません。探査・宇宙ミッションの運用は、予算案・議会の承認・内部調整などを経て最終決定されることに注意が必要です。

JPLではすでに複数回の人員削減が行われており、もし今回の案が通れば「数百〜千人規模の追加レイオフ」も現実味を帯びてきます。関係者は「予算がわずかに減るだけでも、ボイジャーのような長寿命ミッションには致命的だ」と危機感を示しています。

混乱はボイジャーだけにとどまりません。木星探査機「ジュノー」は9年間の拡張ミッションを終えましたが、NASAが沈黙しており「次の運用段階に入れない可能性」が指摘されています。公式サイトの更新も止まり、現場では不安が広がっています。

ボイジャー1号は2026年、地球から“光が1日かかる距離”に到達する節目を迎えます。しかし、この記念的な瞬間も、予算の壁に阻まれれば公的な記録や発表が遅れる恐れが依然として残っています。それでも、地球から遠く離れた宇宙で、ボイジャーは今も静かに電波を送り続けています。

皆さんは、NASA閉鎖による科学探査機運用への影響についてどのようにお考えになりますか?ぜひコメントお待ちしています。

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