大阪万博:「あれ何やろ!?」万博の子ども無料招待、早速開始…大阪府以外からの参加率は伸び悩み : 読売新聞
大阪・関西万博には、全国から多数の児童生徒が訪れる。「貴重な学習の機会」として、各学校は校外学習や修学旅行での訪問を計画しており、14日は早速、大阪府内の小学生らが府の無料招待事業で来場した。一方、熱中症の危険などを理由に、学校行事での訪問を見送るケースもある。(梨木美花)
校外学習で万博を訪れた児童ら(大阪市此花区で)「すご~い」「あれ、何やろ!?」。14日昼、大阪狭山市立西小の2年生と5年生計約120人が、大屋根リングの上からパビリオンが並ぶ会場内を眺めた。
この日は貸し切りバスで来場。大阪ヘルスケアパビリオンなどを見学した。
バス停から西ゲートまでは800メートル以上あり、会場内も広い。引率した教員らは、事前に予約していた屋根付きの団体休憩所で子どもたちに弁当を食べさせ、トイレ休憩の際は、日陰となる大屋根リングの下を待機場所にした。青木昌洋教頭は「下見を生かし、思った以上にスムーズに回れた」と語った。
102万人に入場券
大阪府の吉村洋文知事はこれまでの記者会見で「子どもたちに未来社会を感じ取ってほしい」と述べ、無料招待事業を推進してきた。
府は2023~25年度予算で関連費用計約25億円を計上。4歳から高校生まで約102万人に入場券を配布する計画で、未就学児以外は学校行事での来場を想定していた。
府教育委員会によると、学校行事で訪問する学校は1月時点で、74%だった。
1970年万博が開催された吹田市では1月、全市立小中学校54校が熱中症の危険などを理由に、参加の見送りを決定。熊取町、島本町でも全小中学校が不参加を決めた。会場までの安全な移動経路や、昼食をとる場所を確保できるかを不安視する声が上がっている。
万博の子ども無料招待事業に対する学校の意向主催する日本国際博覧会協会は、暑さ対策としてテントやパラソル、ミストなどを設置。熱中症や急病に備え、会場内には3か所の診療所を設けた。食事は、予約制の団体休憩所を活用するよう呼びかけている。
学校行事で万博へ行かない児童生徒には入場券が配られるが、長女(7)が吹田市立小に通う男性(50)は「学校行事だと集中して学ぶことができ、友達との思い出にもなるのだけど……」と残念がった。
滋賀県は15%
大阪以外の近畿5府県も無料招待事業を行うが、参加率は高くない。
京都府が昨年9~10月に実施した調査で、学校行事で来場すると答えた学校は36%だった。ある京都市立小は、6年生だけが参加する。校長は「低学年は長時間の団体行動が難しい。バス代が高騰し、保護者に費用を求めるのにためらいもあった」と明かした。
滋賀県は昨年11月までの調査で、参加が15%。会場の遠さを懸念する声が出ている。
一方、和歌山県は56%。対象は小中学校で、県は交通費の保護者負担を原則3000円までとし、超過分を独自の予算で補助する。担当者は「最先端技術が集まり、世界中の人と接する機会。日常の学習では得られない体験で、社会課題への関心、国際意識の向上につながる」と意義を語る。
ふるさと納税を活用
近畿以外では、修学旅行で来場する学校が目立つ。
宮城県気仙沼市は、全市立中学校9校の旅行先を、例年の東京方面から関西に変更。旅程を2泊3日から3泊4日に延ばし、1日を万博に充てる。費用は1人当たり4万円増えるが、市はふるさと納税を活用して補助する。
福岡県直方市でも、市立中学校4校のうち3校が修学旅行で9月に万博を訪れる。旅行先は例年関西で、団体の入場券1人1000円についても、企業から寄付があり、保護者負担はゼロになった。