iPhoneやAndroidスマホを充電器につなぎっぱだと電池は劣化する?公式見解は(CNET Japan)
就寝前にスマホをつないでおき、朝起きるとバッテリー残量は100%。多くの人が当たり前にやっている習慣だが、「これって電池に悪いのでは?」と気になる人も多いだろう。 すべての画像を見る 結論から言えば、現行のスマホを常時充電しても深刻なダメージはない。いまの端末はフル充電に達すると自動で電力を制御し、昔の機種で起きていた“過充電”を防ぐ仕組みを備えている。iPhoneでもAndroidでも、一晩中つなぎっぱなしで問題になるケースはほとんどない。 とはいえ、「まったく影響がない」わけではない。リチウムイオン電池は使用を重ねるうちに劣化するが、充電のしかた次第でそのスピードが変わる。特に常に100%を維持する状態は内部に負荷をかけやすく、そこに熱が加わると劣化が一気に進む。熱は電池寿命の最大の敵だ。 小さな工夫で劣化を抑えられる場合もある。仕組みを知っておくことが、スマホを長く快適に使うコツだ。 電池が劣化する理由 バッテリーの寿命は「充電回数」だけでは決まらない。ポイントは電圧、温度、管理の3つだ。 リチウムイオン電池は0%や100%といった極端な状態で最も早く劣化する。満充電状態を長く保つと、電極や電解質に電圧負担がかかるため、多くの端末では「トリクル充電の仕組みを採用している。 ただし、本当に注意すべきは熱だ。充電中にゲームをしたり動画を再生したりすると、端末の温度が上がり、内部で化学的な劣化が加速する。特に真夏日の充電や、発熱しやすいケースに入れたままの使用は要注意だ。 つまり、一晩ケーブルにつないでおくよりも、「高温での充電」こそがバッテリーの寿命を縮める最大の要因なのだ。 Appleの見解 Appleは、iPhoneのバッテリーを「時間とともに性能が落ちる消耗部品」と位置づけている。そのうえで、劣化をできるだけ遅らせるために、iPhoneは「バッテリー充電の最適化」機能を搭載している。 この機能はユーザーの生活リズムを学習し、通常は80%付近で一度充電を止め、普段ケーブルを抜く直前のタイミングで残りを満たす。これにより、高電圧状態で過ごす時間を最小限に抑え、バッテリーへの負担を軽減している。 また、Appleは端末の動作温度として0〜35℃を推奨。充電中に熱がこもる場合はケースを外すようアドバイスしている。詳しくはApple公式サイトの「バッテリーに関するサポート」ページで確認できる。 Android勢の対策 サムスンも同様に、独自のバッテリー保護機能をOne UIの「バッテリーとデバイスケア」設定に備えている。これを有効にすると、充電上限が85%に制限され、長時間の充電でバッテリーが受けるストレスを抑えられる。 Google、OnePlus、Xiaomiといった他のAndroidメーカーも名称こそ異なるが、充電速度や上限を動的に調整する仕組みを採用している。これらの機能によって、ユーザーは過充電を気にせず、安心して長時間ケーブルを接続したままにできる。 “つなぎっぱなし”が裏目に出るケース とはいえ、保護機能があっても状況次第ではバッテリーが早く傷むことがある。最大の敵はやはり熱だ。 直射日光の当たる場所や車内、枕の下などで充電すると、短時間でも内部温度が危険域に達しやすい。さらに、充電しながらのゲームや4K動画の編集といった高負荷の操作は発熱を招き、化学的な劣化を早める原因になる。 また、認証されていない安価なケーブルやアダプターも要注意だ。電流が安定せず、セルに余計なストレスを与える可能性がある。数年使用した古いバッテリーは特に、このような負担に敏感だ。 バッテリーを長持ちさせる充電術 充電習慣を大きく変える必要はない。ちょっとした工夫でバッテリーの寿命は延ばせる。 まずは、端末に搭載されている最適化機能をオンにすること。iPhoneなら「バッテリー充電の最適化」、Samsungなら「バッテリーデバイスケア」、Pixelなら「アダプティブ充電」。これらを有効にすれば、夜通し100%で張り付くような充電を避けられる。 次に、充電中の温度管理。Appleによると、電池が最も安定して働くのは16〜22℃。スマホが熱いと感じたらケースを外し、風通しのよい場所に置く。枕の下やノートPCの横など、熱がこもる環境は避けたい。ワイヤレス充電器を一晩使い続けるのも、熱が逃げにくいためおすすめしない。 さらに、信頼できる充電器やケーブルを使うことも重要だ。格安の“急速充電”アクセサリーは電流が不安定なことが多く、長期的なダメージを与えるおそれがある。 そして最後に、「つど充電」はむしろ歓迎。日中に短時間だけ充電するのは問題ない。リチウムイオン電池は、深い充放電よりも浅いサイクルを好む傾向がある。常に20〜80%を意識する必要はないが、0%近くや100%のまま放置するのは避けよう。 結論 夜通しの充電やデスクでの“つなぎっぱなし”は、もはやバッテリーを傷める行為ではない。これは過去の常識にすぎない。現代のスマートフォンは、充電を自動で制御し、最適な状態を保つよう設計されている。 とはいえ、バッテリーが消耗品であることに変わりはない。発熱を抑え、信頼できる充電機器を使い、ソフトウェアの制御に任せることが、劣化を遅らせる最善策だ。 “電池を大事に扱う”というより、“考えて充電する”という意識を持つだけで、数年後のバッテリーコンディションは確実に変わる。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。