NY市場サマリー(1日)株反落 日銀総裁発言でドル/円下落・米金利上昇
<為替> ドル/円が下落した。日銀の植田和男総裁が12月の利上げ検討の可能性をこれまでで最も強く示唆したことを受けた。米連邦準備理事会(FRB)が12月に利下げを行うとの期待が高まったことも、ドル全般の下押し圧力となった。
この発言を受け、ドル/円は一時約1%下落し154.665円となった。終盤では下げ幅を縮小し、0.7%安の155.09円となった。
TDセキュリティーズの為替戦略責任者ジェイティ・バラドワジ氏は「日銀が利上げに向けてより前向きになっているように見える。それが円を押し上げている」と述べた。
円は他の主要通貨に対しても強含んだ。ユーロ/円 は0.4%下落、ポンド/円は0.6%下落した。
市場全体でもドルは軟調に推移した。
ユーロ/ドルは0.5%上昇し、2週間ぶりの高値1.1652ドルを付けた。終盤は0.1%高だった。
ポンド/ドルは先週、3カ月ぶりの高値を記録した後、この日は0.2%安の1.3254ドルとなった。
CMEのフェドウォッチによると、トレーダーは現在、米連邦準備理事会(FRB)来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを行う確率を88%と織り込んでいる。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは6%安の8万5464ドルで取引を終えた。リスク回避の機運が高まり、投資家が株式やデジタル資産から資金を引き揚げた。
NY外為市場:
<債券> 国債利回りが上昇した。日銀の植田和男総裁が利上げの可能性に向け条件が整いつつあると示唆したことの影響が米国債にも及んだ。
エバーコアISI(ニューヨーク)の債券ストラテジスト、スタン・シップリー氏は「日本は通貨防衛のために利上げを行う方針を明確にした。日本が米国債を大量に保有していることを踏まえると、米国の債券市場にも影響が及ぶ」と述べた。また、日本円は世界のキャリートレードなどの取引に利用されることが多いため、日銀が利上げを行えば円を借り入れるコストが上昇し、レバレッジを取る投資家はポジションを解消せざるを得なくなるため、債券売りにつながるとの見方も出ている。
これを受け、連邦準備理事会(FRB)は9─10日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの追加利下げを決定するとの観測が高まった。LSEGによると、12月のFOMCで0.25%ポイントの利下げが決定される確率は85%。
終盤の取引で10年債利回りは7.7ベーシスポイント(bp)上昇の4.096%。1日の上昇としては7月中旬以来最大となった。
30年債利回りは7.3bp上昇の4.744%。1日の上昇としては7月11日以来最大となる。
2年債利回りは4.3bp上昇の3.534%。
2年債と10年債の利回り格差は56.1bpに拡大した。
米金融・債券市場:
<株式> 米国株式市場は反落して取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)を来週に控え、米国債利回りの上昇や、関税が引き続き製造業の足かせとなっていることを示す経済指標が重しとなった。
市場では米連邦準備理事会(FRB)が9─10日のFOMCで利下げを決定するとの見方が優勢で、CMEのフェドウオッチによると、25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は85.4%織り込まれている。
テミス・トレーディングのパートナー兼共同創業者ジョー・サルッツィ氏は「市場はまだ明らかに業績主導だ。決算シーズンを終えたが、次はFRBだ」と指摘。「上昇基調が続かない理由はない。これまでほど急速ではないだろうが、年末に向けてじりじりと上昇するだろう」と述べた。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.86対1の比率で上回った。ナスダックでも2.33対1で値下がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は156億4000万株。直近20営業日の平均は186億4000万株。
米国株式市場:
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物 相場は、米利下げ観測の強まりやドル下落に伴う割安感を背景に3営業日続伸した。
中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前週末比19.80ドル(0.47%)高の1オン ス=4257.30ドル。
年内の追加利下げ観測が引き続き、利子の付かない資産である金の支援要因となり、買いが先行。相場は一時4300ドル近辺まで上伸した。外国為替市場でドルが対ユーロで下落する中、ドル建てで取引される金の割安感を意識 した買いも促された。
NY貴金属:
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、地政学的リスクなどを意識した買いが入り、反発した。
米国産標準油種WTI2月物は0.78ドル高の59.07ドル。
カザフスタンとロシアをつなぐ送油管を運営するカスピアン・パイプライン・コンソー シアム(CPC)は11月29日、ウクライナの無人機(ドローン)の攻撃により、ロシ アの黒海沿岸にある主要輸出港ノボロシスク港の係留施設が被害を受け、操業を停止したと公表するなどして供給混乱懸念から原油は買いが優勢となった。ただ、CPCは1日、一部の係留施設で石油輸送を再開したと述べた。
トランプ米大統領は11月29日、南米ベネズエラ上空の「全面閉鎖」を主張。米軍の ベネズエラ攻撃が取り沙汰される中、攻撃の準備を示唆した可能性があると受け止める向きもあり、地政学的リスクの高まりが警戒されたことも相場を支援した。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成される「OPECプラス」が30日に日量200万バレルの協調減 産を2026年末まで継続するなどとした従来の生産方針を維持することを確認したことも市場の一部で買い材料視されたもよう。
NYMEXエネルギー:
LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab