太陽系に“新たな惑星”を発見? JAXA赤外線衛星がとらえた謎の天体「プラネット・ナイン」の痕跡
もしも、太陽系の果てに“もう一つの惑星”が潜んでいたとしたら――。最新の研究で「第9惑星」の有力候補となる天体が、過去の赤外線観測データから見つかった可能性が浮上しました。長年、天文学者たちの間で議論されてきた「第9惑星(Planet Nine)」の存在に示された新たな証拠について解説していきます。
カイパーベルトの異常と「第9惑星」
未知の惑星「プラネット・ナイン」 出典:nagualdesign国際研究チームが、1983年にNASAが運用した赤外線天文衛星「IRAS」と、2006年に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた赤外線衛星「AKARI」の観測データを比較。その23年の間に微妙に動いていた赤外線の点を発見し、これが惑星のように太陽を公転している可能性が浮上しました。
この天体は地球から太陽までの距離の700倍に位置していると考えられており、太陽を一周するのに1万~2万年かかると見積もられています。しかもその質量は海王星よりも大きい可能性があるといいます。
「第9惑星」仮説は、2016年にカリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウン博士らが提唱したものです。太陽系外縁部のカイパーベルトにあるいくつかの天体(例:セドナ)の軌道が、不自然に同じ方向に向いている現象を説明するため、重力的に影響を及ぼす巨大な未知の惑星の存在が示唆されていました。
今回の発見は何が特別なのか?
プラネット・ナイン60の言語版話題を追加5 ⁄ 16詳細プラネット・ナインは巨大氷惑星の天王星と海王星に大きさや組成が似ているとされている 出典:PlanetUser過去にも「第9惑星かもしれない」とされる赤外線の候補はありましたが、ほとんどは一度しか観測されず、確認には至っていませんでした。しかし今回は、2つの衛星が20年以上の間隔で同じ天体をとらえている点が画期的なのです。しかも、天体がほんのわずかに移動しており、太陽を回る惑星の軌道と一致する可能性があります。
研究チームは、この候補が近年の赤外線探査衛星「WISE」では確認できなかった理由について、「2006年以降、(この天体が公転移動してしまったため)正確な位置が不明だった」と説明しています。
この候補天体は、太陽から最も近づくときでも280AU、最も遠ざかると1120AUという、極めて細長い軌道を持つとされます。この奇妙な軌道の原因については、太陽系の形成初期に巨大惑星に弾き飛ばされた説と、もともと太陽系外の“浮遊惑星”が引き込まれた説が考えられています。どちらにせよ、太陽系の歴史における「抜け落ちたピース」を埋める鍵になるかもしれません。
現在のところ、この「点」が惑星かどうかを断定するにはさらなる観測が必要です。しかし、かすかな赤外線の点がもたらしたこの可能性に、世界中の天文学者たちが注目しています。もしかすると、第9の惑星を確認できる日は意外と近いのかもしれませんね。是非みなさんからのコメントお待ちしています。
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