21取得コストが高騰、Block IIの生産ペース引き下げを検討中
韓国防衛事業庁は5月7日「KF-21は開発段階の最終関門である戦闘適合判定を取得した」と発表し、6月に予定されているKF-21 Block Iの実戦配備開始はほぼ確実になったが、韓国防衛事業庁はKF-21の取得コスト高騰に対応するためBlock IIの生産ペース引き下げ(年20機→年15機)を検討しているらしい。
参考:KF-21 전투용 적합 최종 판정 “1만3000개 시험 뚫고 ‘항공 주권’ 시대 개막” 参考:South Korea Weighs KF-21 Block 2 Production Delay Amid Rising Costs
韓国が開発を進めているKF-21は2021年4月にプロトタイプ1号機がロールアウト、2023年には予定していたプロトタイプ6機(単座4機+複座2機)全てが完成して飛行試験が本格化し、2024年6月25日に韓国航空宇宙産業とKF-21 Block Iの初回量産契約(20機/約2兆ウォン)を締結、2026年1月には42ヶ月間に及ぶ約1,600回の飛行試験(機体の基本性能、AESAレーダーや電子機器の能力、空中給油能力、空中での高機動性の検証やIRIS-TとMeteorの試射)を終え、2026年3月にKF-21 Block Iの量産機1号機がロールアウトした。
そして韓国防衛事業庁は5月7日「KF-21は開発段階の最終関門である戦闘適合判定を取得した」と発表し、この戦闘適合判定とは「空軍が要求した作戦要求性能(ROC)を全て満たし、実際の戦場環境で任務を遂行できる技術水準と安定性がある」という宣言、つまりKF-21 Block Iの開発試験と運用試験を完全にクリアし、6月に予定されている実戦配備が現実のものになったという意味だ。
6月にKF-21 Block Iが部隊に実戦配備され、一定の訓練、整備、後方支援体制が整うと初期作戦能力の獲得が宣言されると「実戦任務」への投入が可能になるのだが、ここまで順調にきたKF-21にも問題が生じているとAviationWeekが報じており、韓国防衛事業庁はKF-21の取得コスト高騰に対応するためBlock IIの生産ペース引き下げを検討しているらしい。
出典:대한민국 청와대
当初計画では2028年までにKF-21 Block I×40機を、2032年までにKF-21 Block II×80機を生産する予定で、韓国防衛事業庁と韓国国防分析研究所は2024年8月時点でBlock IIの取得コストを14.2兆ウォンと見積もっていたが、2026年3月の試算では18.4兆ウォンまで取得コストが膨らみ、Block IIの量産期間を「2028年~2032年」ではなく「2028年~2034年もしくは2035年」まで延長し、生産ペースを年20機から年15機に引き下げることを検討しているらしい。
つまり、膨らんだ取得コストに対応するためジャムをトーストに薄く伸ばすような対応(支払い期間を5年ではなく7年~8年に引き伸ばす)になるという意味で、AviationWeekは「この影響を緩和するのに重要なのはBlock IIの初期量産段階で海外受注を確保できるかどうかだ」「2028年以降に最低でも20機以上のBlock IIを海外輸出できなければ単価がさらに上昇し、プログラム全体の規模の経済効果が損なわれる可能性がある」と指摘した。
出典:대한민국 청와대
ちなみにBlock IIの取得コストが膨らんだのはドルに対するウォン安が原因で、取得コストに占める約35%の輸入部品(F414-GE-400Kなど)がウォン安の影響を受け、インフレや不安定なサプライチェーンもコスト上昇の要因に挙げられている。
Block IIの取得コスト=18.4兆ウォンを80機で割ると1機あたり約2,200億ウォン(約1.5億ドル)になるが、これは生産立ち上げ費用、スペアパーツ、支援装備、訓練設備など様々な費用が含まれた数字なのでBlock IIの機体単価ではなく取得コストで、韓国政府やディフェンスメディアが用いるBlock IIの単価は1,620億ウォン=約1億ドル(Block Iは8,300万ドル)だ。
出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Zachary Rufus
F-35 LOT18での平均取得コストは再び1億ドル(機体8,110万ドルとエンジン2,040万ドル)を突破しているが、ここにはAN/APG-81やAN/APG-85といった政府支給の装備は含まれておらず、運用・保守まで含めたライフサイクルコストもKF-21の方が相当安価だと言われ、トランプ政権の不確実性と現在の安全保障環境によって「統合の自由」の価値も高騰しているため「KF-21が割高な戦闘機かどうか」は今のところ何とも言えない。
それでも1つだけ確かなのは韓国需要だけでは「KF-21 Block IIの取得コストが更に上昇する可能性が高い」という点で、海外市場で競争力を確保するには規模の経済が重要になっているため、ビジネス上の成功を収められるかどうかはポーランドや中東諸国への売り込みに成功するかどうかに懸かっている。
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※アイキャッチ画像の出典:대한민국 청와대