「不可能を可能にするためには『狂う』」 ティリ男子代表監督の覚悟

ロサンゼルス・オリンピックでメダル獲得を誓うバレーボール男子日本代表のロラン・ティリ監督=東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで2025年6月4日午後3時6分、渡部直樹撮影

 「この五輪への挑戦は面白くなると思いました」

 バレーボール男子日本代表の監督にフランス人のロラン・ティリ氏(61)が就任し、2028年ロサンゼルス・オリンピックのメダル獲得を目指し、スタートを切った。

 母国の代表を2021年の東京オリンピック金メダルに導いた世界的名将だ。

 自身の指導哲学や代表の展望、そして日本への思いを語った。【小林悠太】

好きな日本語は「お疲れ様です」

 ティリ監督はSVリーグの大阪ブルテオン(旧パナソニック)で5シーズンの指導経験がある。

 日本の文化に強い関心を持つ、今の日本代表に最適の指導者だろう。

 「日本文化で共感するのは、深い尊敬の気持ちです。日本人は、人や自然に対し、礼儀を大事にしています。その心に基づく、『お疲れ様です』という日本語が好き。フランス語には存在しない表現です」

 これまで、熊野大社や高野山など日本の神社仏閣を巡ってきた。最近もオフに鎌倉を散策したという。

 「心が安らかになります。『わびさび』という表現も好きです」

 昨秋、男子日本代表監督のオファーを受けた際、まだ大阪Bの監督在任中だった。

 最初は「私(が受けるべき)ではない」と思ったという。

 しかし、次第にこう考えるようになった。

 「ブルテオンの選手に…

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