中国、ロンドン金融街近くに「スーパー大使館」-米が安全保障を懸念

Chloe Meley

  • 中国の習主席の個人的な働き掛けで、スーパー大使館構想が復活
  • トランプ大統領が警戒感を示し、米英の貿易協議でも取り上げられた
Photographer: Betty Laura Zapata/Bloomberg

英政府は、シティー(ロンドンの金融街)近くに建設が予定される在英中国大使館について、安全保障上の懸念があれば、デューデリジェンス(適正評価手続き)を実行すると約束した。米国との貿易交渉を複雑にしかねないとの認識が背景にある。

  英日曜紙サンデー・タイムズによると、英国の前政権が阻止した「スーパー大使館」構想は、中国の習近平国家主席の個人的な働き掛けで復活した。同紙によれば、トランプ米大統領は、英国の重要な金融センター近くに中国が巨大な大使館を構えることを不安視し、スターマー英首相に警告を発した。米英の貿易協議でも取り上げられたという。

  カイル科学・革新・技術相はスカイニューズの番組で、報道に関する質問に答え、安全保障上のいかなる問題にも「包括的に対応する」と説明。「これらの問題は2国間で常に話し合っている。念のために言えば、われわれは大使館やこの種のインフラの問題に常に対処している」と語った。

  英国は米国との貿易合意を2週間以内にまとめることを目指しており、トランプ政権が容認できる中国との関係構築も交渉の行方を左右する。中国企業が持つ英製鉄所の権益を巡る米側の要求に英国が応じる期限は7月9日に設定されている。

  攻撃の標的となりやすい通信ケーブル拠点が大使館の建設予定地に近いことも問題視されている。野党・保守党の影の内務相クリス・フィルプ氏は8日のスカイニューズの番組で、中国がスパイ活動の拠点として大使館を利用する可能性が高いと述べた。中国大使館はそうした疑念をかねて否定している。

原題:UK Vows Due Diligence on China Embassy Amid Security Concerns(抜粋)

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