「うーん…どっちも出たい」 “女子初”の男子ツアープロ・寺西飛香留がデビュー戦
◇国内男子◇東建ホームメイトカップ 事前情報(8日)◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重)◇7069yd(パー71)
練習ラウンドの10ホール目、寺西飛香留の目は1組前でティショットを打つ石川遼のキャディバッグにくぎ付けだった。「わたし、クラブがすごく好きなので。どんなかなって」。2年前は観客の一人として訪れた男子ツアーの開幕戦。ことしは出場選手としてコースに立っているから、自分でも不思議な気持ちだ。
「女子ツアーでは7回くらいプロテストを受けているので…」。国内女子ツアーに出場するにはプロテストに合格する必要があるが、男子ツアーは予選会で上位に入れば『ツアープロ』として出られる。昨年挑戦した男子ツアーの予選会(QT)ファーストステージに女子選手として初めて挑戦し、規定内の順位で終えたことで女子ツアーよりも先に『ツアープレーヤー』の肩書を獲得した。
女子初の男子ツアープレーヤーとして注目される中、2月に「前澤杯 MAEZAWA CUP」(4月24~27日/千葉・MZ GOLF CLUB)への推薦出場が決定。「ええー!」と驚いた矢先、3月末には本大会からも推薦の声がかかった。「え、開幕戦、いいの?」と戸惑いながら、男子ツアーの雰囲気に高揚感を隠せない。
この日は1年前から交流のあるリュー・ヒョヌ(韓国)らと練習ラウンド。リューが所属する小野グランドCC(兵庫)で出会ったことがきっかけで、今ではリューをオーバードライブすることがひとつの目標になっている。「あと1ydくらいまで迫ったことがあるけど、そこが追いつかなくて…」と悔しがったが、260~270ydの平均飛距離を武器に、まずは予選通過を目指す。
今年も女子プロテスト合格を目指すなか、“どちら”でやりたいかと聞かれたら「うーん」と首をひねる。「女子に行きたい、男子に行きたいというより、どっちも出たい」。もともと男子ツアーのQT挑戦も、「フルバックでアンダーが出せる」と自信がついたときに「単純に挑戦しよう」と腕試しの機会を求めたことがきっかけだった。
過去、レギュラーツアーに出場した女子選手は3人いるが、予選通過者はまだ出ていない。「初めてなので、場慣れしてどこまで回れるかが一番重要」。次に目指すのは“女子初”の決勝進出だ。(三重県桑名市/谷口愛純)
<男子レギュラーツアーに出場した女子選手> ・ソフィー・グスタフソン(スウェーデン) 2003年「カシオワールドオープン」予選落ち/通算7オーバー93位
・宮里藍 2005年「アジア・ジャパン沖縄オープン」予選落ち/通算16オーバー120位
・ミッシェル・ウィ 2005年「カシオワールドオープン」予選落ち/通算4オーバー68位
2006年「カシオワールドオープン」予選落ち/通算17オーバー100位