スマホ新法、12月施行へ 改正ガイドライン公開

公正取引委員会は29日、グーグルやアップルなどの大手テクノロジー企業等を規制する「スマホソフトウェア競争促進法」(スマホ新法)の運用ガイドラインを公表した。5月に公開したガイドライン案についてのパブリックコメントなどの意見を反映しながら、運用ガイドラインとしてまとめた。 【この記事に関する別の画像を見る】 スマホ新法は、スマートフォン関連市場の競争促進を目標とし、24年6月に成立、25年12月18日に全面施行予定。スマホのOSやブラウザなどは、「社会インフラ」のような重要性を持つ一方で、大手事業者による寡占状態となっており、新規参入による自発的是正は難しい。また、独占禁止法による個別対応では長い時間を要する。新たな枠組みが必要という考えのもと、新法が導入される。3月には、アップルとiTunes株式会社、グーグルの3社が対象企業として指定されており、OS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンなどについて、事業者は法の規定に基づき、禁止事項や遵守事項が課せられる。 主な禁止・遵守事項は、「他の事業者のアプリストア提供を妨げない」、「他の課金システムの利用を妨げない」、「デフォルト指定を簡単な操作で変更できるようにする」など。 今回のガイドラインでは、5月のガイドライン案に対する意見が反映され、若干の修正が行なわれている。 例えば、安全・安心だけでなく、ユーザーの利便性を損なわないことを明示するため、基本的考え方に「自由な競争の確保とスマートフォンの利用者における『利便性』や安全・安心の確保の両立を図る」と明示されたほか、サイバーセキュリティの確保、スマートフォンの利用者情報の保護などの「正当化理由」の具体例として、機密文書や位置情報だけでなく、「多要素認証に係る認証情報」への不正なアクセスを防ぐことも明示。また、利用者保護では、政府機関等が提供する個別ソフトウェアの機微な情報の保護なども明記された。 加えて、スマートフォンの異常動作に繋がる動作の防止や、犯罪行為の防止について、どのような違反が正当化事由の対象となるかを明記している。 また、OSに統合されたストアから外部のサービスに遷移する際に、「中立的」な表現を用いることを明記している。 パブリックコメントでは105件の意見が寄せられたが、今回のガイドラインは5月に提示されたガイドライン案から、利便性についての言及や、正当化事由の具体化など、一部の表現をより明確化している。これらにはアップルやグーグルの意見も一部反映されている。 新法が求めるアプリストアやOSアクセスの開放、相互運用性の確保などは、各社のサービスの根幹や事業戦略に深く関わるもので、プラットフォーマーにとっては、自社サービスを他社にほぼ無償で開放することとなるため、ルールの明確化やプライバシーを重視した判断を認めるようコメントしている。 アップルは、欧州で24年に開始したデジタル市場法(DMA)による巨額な制裁金を課されたことについて反訴している状況だ。欧州においてApple Intelligenceの導入が遅れるなどユーザーの利便性への影響が生じているほか、ルールの定義やゴールの変更など、規制範囲が明確ではなく過剰な市場介入が行なわれていると訴えている。日本が欧州のようにならないよう、「対話」を求めるコメントを発表している。 Apple Appleは日本で40年以上にわたって事業を展開しており、国内で100万人以上の雇用を支えていることを誇りに思っています。また、App Storeが、開発者の皆さまにとって魅力的なビジネスの機会を提供し、ユーザーにとって最高のアプリ体験ができる場であり続けられるよう、常に革新を重ねています。しかし、政府が導入しようとしているEU型の規制は、プライバシーやセキュリティの保護を損なうだけでなく、私たちの技術やサービスを競合他社に無償で提供することを強いるものであり、新たなリスクを生じさせかねません。こうしたリスクを適切にご理解いただけるよう、私たちは引き続き公正取引委員会との対話を重ねてまいります。 Google Google は、新規制が日本の消費者および企業へ意図せぬ影響を及ぼすことがないよう、引き続き公正取引委員会との緊密な対話を継続して参ります。いかなる新規制も、エビデンスに基づき、公平かつ均衡の取れたものであり、成長とイノベーションを阻害しないことが重要だと考えます。

Impress Watch,臼田勤哉

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