「法律に従っていては世界は救えない」グレタさん2年余で8回拘束 妨害活動後にVサイン

炭鉱開発への抗議活動で連行されるグレタさん=2023年1月、ドイツ西部の村(DPA提供、AP=共同)

パレスチナ自治区ガザへの支援船がイスラエル軍に拿捕されスウェーデンへ送還された環境活動家グレタ・トゥンベリさん(22)は、過去2年余りで少なくとも8回拘束されてきた。大半は地球温暖化問題での抗議活動で、ガザ支援での拘束は今回で2回目だった。

グレタさんは中学生だった2018年から地球温暖化対策を政府に求めて座り込みを開始。若者による世界的な運動の先駆けとなった。

一方で20歳を迎えた直後の2023年1月、ドイツ西部で炭鉱の開発により廃村が決まった村での大規模デモに参加。数十人の参加者と炭鉱の危険な地域に立ち入ろうとして、離れなかったため、警察官に抱えられて運ばれた。身元確認後に解放された。

同年3月には、ノルウェーの首都オスロで先住民族サーミの権利擁護を訴えるデモに参加中、警察が2度にわたり一時拘束。巨大な風力発電機の姿と音がトナカイを怖がらせているなどとして、一部の政府施設への関係者の立ち入りを妨害した。

また同年6月には、母国スウェーデン南部マルメの港でタンカーへの石油運搬車の出入りを妨害し一時拘束。警察の退去命令に従わなかったとして起訴され、計2500クローナ(約2万7千円)の罰金刑を受けた。

グレタさんはその際の法廷で、人類が緊急事態に陥っており自分たちの行動は「正当化される」と主張。評決について「予想通りだった。ルール(法律)に従っていては私たちは世界を救えない。なぜなら、ルールは変わらなければならないから」と述べた。

24年4月には、オランダのハーグで化石燃料への補助金に反対する抗議活動に参加。幹線道路を封鎖しようとした参加者らと警察に拘束され、Vサインで応じた。

警察に拘束されVサインするグレタさん=2024年4月、オランダ・ハーグ(AP=共同)

戦争による環境への影響も訴え、23年6月にはロシアが侵攻するウクライナを訪れてゼレンスキー大統領と会談。パレスチナ支持も鮮明にしており、24年9月にはデンマークの首都コペンハーゲンで、ガザでの戦闘に反対するデモに参加中、地元警察に一時拘束された。

グレタさんが拘束された主な活動

2023年1月(ドイツ)炭鉱開発に反対する抗議活動

3月(ノルウェー)先住民族の土地での風力発電に反対するデモ

6月(スウェーデン)石油タンカーへの妨害活動。退去命令に従わず起訴され罰金刑

10月(英国)石油・ガス関連会社幹部の会議への妨害活動

24年4月(オランダ)化石燃料への補助金に反対する抗議活動

9月(デンマーク)ガザでの戦闘に反対するデモ

10月(ベルギー)化石燃料への補助金に反対する座り込み

25年6月(ガザ沖)ガザへの救援物資輸送。乗っていた船が拿捕、送還

今回のガザでは「法律を犯したわけではない。何も悪いことはしていない」

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