アントラサイクリン系抗がん剤不適格の大細胞型B細胞リンパ腫高齢患者に対する初回治療としてのエプキンリ、高い奏効率を示す

[公開日] 2025.01.09[最終更新日] 2025.01.09

この記事の3つのポイント ・アントラサイクリン系抗がん剤不適格の大細胞型B細胞リンパ腫高齢患者を対象とした第2相のEPCORE DLBCL-3試験 ・初回治療としてのCD3およびCD20に結合するヒト化IgG1二重特異性モノクローナル抗体であるエプキンリ単剤療法の有効性・安全性を検討 ・エプコリタマブは安全かつ有望な奏効率を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、75歳以上のアントラサイクリン系抗がん剤不適格の未治療大細胞型B細胞リンパ腫患者に対するCD3およびCD20に結合するヒト化IgG1二重特異性モノクローナル抗体であるエプキンリ(一般名:エプコリタマブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のEPCORE DLBCL-3試験(NCT05660967)の結果がUniversity of LilleのFranck Morschhauser氏らにより公表された。 DLBCL-3試験は、75歳以上のアントラサイクリン系抗がん剤不適格の未治療大細胞型B細胞リンパ腫患者に対して、28日を1サイクルとして1サイクル目は1日目にエプキンリ0.16mg、8日目に0.8mg、2-3サイクル目は1週に1回エプキンリ48mg、4-12サイクル目は4週に1回エプキンリ48mgを最大1年間投与し、主要評価項目として完全奏効率(CR)を検証した試験である。 本試験に登録された45人の患者背景は、年齢中央値が81歳(77-95歳)、性別が男性40%、心血管系の合併症を有する患者が87%、神経系障害が29%、精神障害が22%、腎障害が71%、またAnn Arbor分類ステージIVが53%、バルキー病変ありの症例が29%であった。 本試験の結果、評価可能であった39人の患者における全奏効率(ORR)は74%(N=29/39人)、CRは64%(N=25/39人)を示した。奏効までの期間中央値1.4ヶ月、完全奏効までの期間中央値2.4ヶ月をそれぞれ示した。奏効が確認された15人(完全奏効14人、部分奏効1人)は微小残存病変(MRD)陰性検査により93%が陰性であることが確認された。 一方の安全性として、20%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は、サイトカイン放出症候群(CRS)が68%、倦怠感が23%、便秘が20%を示した。重篤なTRAEはCOVID-19、サイトメガロウイルス再活性化、腫瘍崩壊症候群、腫瘍出血等が確認された。TRAEによる治療中止率は16%(N=7人)、その内訳は急性腎障害、貧血、好中球減少、運動失調、疲労、免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)、呼吸不全、腫瘍崩壊症候群でそれぞれ1人の患者で確認された。発現が確認されたCRSは大半が低グレードで、97%の患者が改善している。 以上のDLBCL-3試験の結果よりFranck Morschhauser氏らは、「今回の結果は、エプキンリ単剤療法は、アントラサイクリン系化学療法を受けることが難しい大細胞型B細胞リンパ腫患者に対する有望な選択肢であることを示しています」と結論付けた。 参照元: Epcore DLBCL-3 First Disclosure: Fixed-Duration Epcoritamab Monotherapy in Older (≥75 y), Anthracycline-Ineligible Patients with Previously Untreated Large B-Cell Lymphoma(ASH 2024)
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