天の川のブラックホール、頻発する爆発現象。宇宙の謎を解く鍵に

Illustration: NASA, ESA, CSA, Ralf Crawford (STScI)

宇宙で最も不可解な物体のひとつであるブラックホール。

私たちが住む天の川銀河の中心にも、太陽の約400万倍もの質量を持つ「いて座A*(Aスター)」と呼ばれる超大質量ブラックホールがあります。

フレアによる鮮やかな光

ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)は、1年以上かけて合計48時間、いて座A*を観測しました。データを分析したチームによると、このブラックホールはちらつきから鮮やかな噴出まで、さまざまなフレア(爆発現象)の急増を経験しているようです。

ノースウェスタン大学の天文学者でこの研究の筆頭著者であるFarhad Yusef-Zadeh氏は、

基本的にすべての超巨大ブラックホールでフレアが発生すると予想されていますが、このブラックホールはユニークです。常に活動が活発で、決して定常状態に達することはないようです。私たちは2023年から2024年にかけてこのブラックホールを何度も観測しましたが、観測のたびに変化があることに気づきました。

と、大学の発表で述べています。

さらに天文学者たちが驚いたのは、いて座A*のフレアの頻度でした。1日に5~6回の大きなフレアがあり、その合間にも小さなフレアが起こっています。

Yusef-Zadeh氏によると、これらフレアは、降着円盤の乱れによって過熱したガス(プラズマ)が圧縮され、太陽で発生する太陽フレアに似た放射線の爆発が引き起こされる可能性が高いと言います。なお、こちらの論文は、The Astrophysical Journal Lettersにて全文読むことが可能です。

2025年1月には、別の研究チームがウェッブ望遠鏡の中間赤外線装置(MIRI)を使い、このブラックホールの中心核から発せられる中間赤外線フレアを初めて検出しました。

このデータによって、ブラックホールが周囲の物質とどのように相互作用するのか、ブラックホールが生み出すフレアが降着円盤やその先にどのような影響を与えるのか、という2つの大きな疑問が明らかになるそうです。

Reference: 国立天文台

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