北陸新幹線湖西ルート、京都駅乗り入れはできるのか。「維新8案」を検証する【2】
北陸新幹線新大阪延伸について、日本維新の会が8つのルート案について再検討する方針を明らかにしました。そのなかで注目は、湖西ルートです。2016年のルート決定時には検討対象から外れていましたが、今回、再浮上するのでしょうか。
【最初から読む】 北陸新幹線延伸、湖西ルートは再浮上するか。「維新8案」を検証する【1】
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京都駅に乗り入れられるのか
湖西ルートの実際の道筋を考えると、敦賀駅から比良山地に沿って南下し、比叡山方向から京都市内に入ることになります。このとき、京都駅に乗り入れるのであれば、東西方向にルートを設定する必要が出てきます。
京都駅接着については、小浜・京都ルートでも検討されましたが、東西の地下トンネルは施工難易度が高く、工期も長くなることから、候補から外れました。
湖西線ルートの場合も、東西にトンネルを掘るなら、同様の困難に直面するでしょう。地下が無理なら高架となりますが、その場合、京都市街地での用地買収という難題が立ちはだかります。
したがって、湖西線ルートの京都駅乗り入れは、不可能とはいえないものの困難で、実現させるには相当の時間と費用がかかりそうです。
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山科駅接着案
京都駅接着が無理なら、次善の策として、山科駅付近での在来線接着にとどめることが検討されるでしょう。東海道新幹線と接着するなら、是が非でも京都駅まで作らなければなりませんが、それにこだわらないなら、山科駅でも事足ります。
山科駅で在来線特急に接続すれば、30分あまりで大阪駅に達します。特急「はるか」が山科駅まで乗り入れる計画があるので、関空特急と北陸新幹線リレー特急とを統合することもできるでしょう。東海道新幹線に「リレー役」を頼らなくてもいい点は、米原ルートにはないメリットです。
さらにいえば、JR西日本は山科駅を「京の東の玄関口」と位置づけ、整備を開始しています。地下鉄東西線も乗り入れているので、京都市中心部へのアクセスも容易です。ルートとなる滋賀県へのアクセスも、JRなら大津駅や大津京駅まで一駅ですし、京阪京津線も走っています。
こうしたことから、交通拠点性では、山科駅案は小浜・京都ルートの桂川駅案より優れていると捉えることもできます。
湖西ルートの難点として、「比良おろし」とも呼ばれる強風が挙げられます。これについては、新線をトンネル主体で作り、防風対策を施すことで、ある程度解決は可能でしょう。
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京都~新大阪間をどう作るか
湖西ルートで不透明なのは、京都~新大阪間をどうするのか、という点です。
東海道新幹線に乗り入れないなら、先述の通り、京都駅や山科駅などで乗り換えの手間がかかります。
東海道新幹線へ乗り入れるなら、米原ルート同様、線路容量や技術的な問題が生じます。また、京都駅までのアプローチも問題ですし、新幹線ホームの増設も必要になりますが、相当の大工事になるでしょう。
自主研究会試算で、乗り入れの場合に6,000億円も上乗せしていることが、難題であることを物語っています。
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東海道新幹線への乗り入れをせずに新大阪駅まで運行するなら、敦賀~新大阪間の全区間で新線を作る必要が生じます。
京都市内の駅が山科になるならば、南下すれば久御山付近に至ります。小浜・京都ルートで計画されているのと同様、久御山に車両基地を設け、松井山手駅を経て新大阪駅に達するルートが考えられます。
湖西ルートで新大阪まで新線を作る場合、小浜・京都ルートより全体距離が短くなります。事業費もそのぶん安くなりますが、3兆円規模には達するでしょう。
2025年試算で、小浜・京都ルートのB/Cが0.5程度ならば、湖西ルートを新大阪まで整備した場合に、B/Cが1を超えるのは難しそうです。それでも、小浜・京都ルートを全線で作るより、湖西ルートを新大阪まで作った方が投資効果は高そうです。
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JR西日本の立場からみると、どうなるでしょうか。同社は米原ルートについて、東海道新幹線に収益の一部が流出するという問題があるからか消極的です。しかし、湖西ルートで在来線接続にすれば、そうした問題は生じません。
仮に敦賀~山科間を暫定整備するとしても、在来線接続ならば、敦賀駅乗り換えが山科駅乗り換えになるだけで、収入の他社流出は生じませんので、JR西日本としては受け入れられるでしょう。
もちろん、JR西日本としては、新大阪駅までの整備を求めるに違いありません。その場合でも、総事業費でみれば、小浜・京都ルートより湖西ルートのほうが安いですし、距離が短いぶん、開業後の運営コストも低くなります。
したがって、小浜・京都ルートを認めたJR西日本が、湖西ルートを拒否する理由は見当たりません。
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おもな通過自治体となる滋賀県は、湖西ルートでのメリットはあまりありません。
途中駅を作る場合、近江今津駅(高島市)付近になるでしょうが、巨額の費用負担をしてまで誘致する価値は見いだせないでしょう。
ただ、通過自治体の費用負担の問題については、西九州新幹線の佐賀県でも問題になっていて、国土交通省では軽減策について検討を始めています。佐賀県が受け入れられる程度の制度が導入されるのであれば、滋賀県も受け入れ可能になり得ます。
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そもそも滋賀県は、2016年の時点では米原ルートを推進しており、県内に北陸新幹線が通ることを否定してきたわけではありません。
三日月大造知事は2016年2月の記者会見で、「費用面や時間面を勘案し、最も早くつなぎ効果を発現するものとして米原ルートが最適なのではないか、同時に(東海道新幹線の)ダイヤや乗り入れの制約やシステム上の問題などについては、国家的見地から乗り越えていくべき課題ではないか」と発言しています。
このときの滋賀県は、「属地主義によらない受益に応じた負担」と「並行在来線の非分離」を求めたうえで、米原ルートを推進していました。無条件の新幹線誘致ではありませんが、応分の負担なら受け入れる姿勢だったわけです。
こうした経緯から、今後、湖西ルートに決まった場合、費用負担や並行在来線の条件が穏当であれば、滋賀県が北陸新幹線を引き受ける可能性はあるでしょう。
一方、強く反対するのは、福井県でしょう。北陸新幹線の小浜市経由は、50年来の政府との約束です。この約束を反故にするのであれば、福井県が事業そのものに同意しない可能性があります。
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湖西ルートの並行在来線については、湖西線が該当します。これをJRから経営分離し第三セクターに移管するとなれば、滋賀県が受け入れることはなさそうです。
とはいえ、京都近郊の通勤路線でもあることから、JR西日本が引き続き運営することは可能でしょう。
もともと、小浜・京都ルートであっても、湖西線については、経営分離すると滋賀県が同意しないため、分離されないとみられてきました。湖西ルートの場合でも、分離しない選択を取ることは、JR西日本としては許容範囲とみられます。
【続きはこちら】 北陸新幹線新大阪延伸、「在来線活用」の意味。「維新8案」を検証する【3】
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