まさかのあれが“丸見え” 歴史に残る情報漏えい事件5選

 2019年5月、セキュリティ分野の専門家ブライアン・クレブス氏が、米国の金融保険会社First American Financial Corporationの情報漏えいを報告した。同氏によると、First American Financial CorporationのWebサイトで、約8億8500万件の個人情報が誰でもアクセス可能な状態になっていたという。個人情報には以下の情報があった。 ・銀行口座情報 ・社会保障番号 ・住宅ローン記録 ・税務関連書類 ・運転免許証のコピー  流出の原因は、First American Financial CorporationのWebサイト設計の欠陥「不適切な直接オブジェクト参照」(IDOR:Insecure Direct Object Reference)によるものだ。ファイルやデータベースレコードといった「直接オブジェクト」にアクセスするためにはユーザーごとの適切な権限管理が必要だが、それをしないと、あるユーザーが別のユーザーのデータを参照、操作できてしまう。IDORはそうした脆弱(ぜいじゃく)性の一つだ。  同社の場合、URLのパラメータを変更するだけで、さまざまなファイルにパスワードなしでアクセス可能な状態になっていた。

 2023年10月、「pwn001」と名乗るインターネットユーザーが、8億1500万件の個人情報をダークWeb(通常の手段ではアクセスできないWebサイト群)で販売していることが報じられた。このデータには以下の情報が含まれていた。 ・氏名 ・住所 ・電話番号 ・インドの個人識別番号制度「Aadhaar」のID ・パスポート情報  流出した個人情報は、ICMRが実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査データから収集されたものだ。  サイバーセキュリティベンダー「Resecurity」の調査チーム「Resecurity Hunter Unit」はpwn001と接触し、個人情報の販売価格が8万ドル(約1200万円)であることを確認した。Resecurity Hunter Unitは40万件のサンプルデータを取得し、複数の被害者と照合した結果、情報が本物であることを確認したという。


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 フランスのセキュリティ研究者benkow氏は、スパムbot(インターネット上に自動でスパムメールを拡散するプログラム)のサーバ「Onliner Spambot」に、7億1100万件のメールアドレスとパスワードが格納されていることを突き止めた。2017年8月、セキュリティ研究者のトロイ・ハント氏が明らかにした。  Onliner Spambotは、少なくとも2016年から1年間にわたり、マルウェア「トロイの木馬」を用いてスパムメールを拡散していた。

 2024年5月、チケット販売会社Ticketmasterがハッカー集団「ShinyHunters」の攻撃を受けた。その結果、同社の5億6000万人分のユーザー情報を含む1.3テラバイト(TB)のデータが盗まれ、ダークWeb上で約50万ドル(約7500万円)で販売されたという。  Ticketmasterの親会社Live Nationは2024年5月20日、サードパーティーのクラウドデータベース上で不正アクセスを検出したと、5月31日付の米国証券取引委員会(SEC)への提出書類で報告した。不正アクセスを受けたデータベースには、米国、カナダ、メキシコで開催されたイベントのチケットを購入していたユーザーの以下の情報が含まれていた。 ・氏名 ・メールアドレスや電話番号 ・クレジットカード情報  Ticketmasterは利用していたクラウドサービスのベンダーを公表していない。一部では、データ流出の原因となったのはSnowflakeが提供する同名クラウドデータウェアハウス(DWH)だとする報道がある。Snowflakeは2024年5月23日、顧客データへの不正アクセスを認識したと発表したが、Ticketmasterを含む具体的な顧客名には言及していない。  セキュリティベンダーのCrowdStrikeとMandiantが共同調査した結果、Snowflake側ではシステムの脆弱性や設定ミス、認証情報の漏えいは確認されなかった。しかし、単要素認証(SFA)を使用していたユーザーアカウントが標的にされた可能性が高いことが報告された。攻撃者は、既存のマルウェア攻撃やダークWebで取得した認証情報を使って不正アクセスを試みたと推測される。攻撃の背後には、「UNC5537」と呼ばれる犯罪グループが関与していることが特定された。

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