23歳の「Z世代軍」司令官、なぜ武器を取ったのか ミャンマー内戦

Z世代の若者で構成するGZAの創設者、コーGZ司令官=GZA提供

 民主派勢力と国軍の戦闘が続くミャンマーで、10代から20代までのZ世代が武装組織「ジェネレーションZアーミー(GZA)」を立ち上げ、国軍と戦っている。「次世代の明るい未来のために命をささげる」と毅然(きぜん)として語る創設者の通称コーGZ司令官(23)にオンラインで話を聞いた。

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21歳で武装組織を結成

 「遅かれ早かれ犠牲を払わなければならない時がくるだろう。それも革命を成功させるための通過点だ」

 パソコンの画面越しに映るコー氏は表情を変えずに語った。スピーカーからは時折、鳥のさえずりが聞こえる。自分たちであつらえたという軍服を着ていなければ、普通の若者に見える。

 GZAはミャンマー第2の都市マンダレーに近いザガイン管区を中心に武装闘争を展開する。メンバーは1000人以上で、18歳から27歳までの若者が多くを占める。

 女性も約80人参加している。医療チームなどの後方支援だけでなく、スナイパーとして前線に立つ女性兵士もいる。

 「軍を倒し、政治を国民に取り戻さなければならない」。GZAを組織したのは2022年12月。大学2年の時だった。

民主化の希望とクーデター

 長く軍政が続いたミャンマーでは、10年に20年ぶりの総選挙が行われ、その翌年、民政移管が実現した。徐々に民主化へ動き出し、15年の総選挙で圧勝したアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が政権を握った。かつては遮断されていたインターネットも普及し、言論の自由も保障された。

 コー氏は地元の大学に進学し、将来は日本で働くことを夢見て日本語も学んだ。海外旅行も楽しんだ。ところが、生活は一変する。

 国軍のミンアウンフライン最高司令官が21年2月にクーデターを実行し、スーチー氏ら民主化を主導した政党幹部を次々と拘束。全土で抗議デモが起こり、国民の怒りが爆発した。国軍は非常事態を宣言し、武力でねじ伏せにかかった。

記事後半では、反軍政デモから武装闘争に至った経緯、過酷な状況で若者が戦い続ける理由を紹介します。

デモから武装闘争へ

 大学生だったコー氏も仲間とともにデモに参加した。平和的なデモに対して国軍…

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