「サムスンG」を辞めて福岡へ移住 韓国人エンジニアが日本で「衝撃を受けた」こととは?

 一方で、生活面に目を向ければ、日本のデジタル化の遅れに戸惑うこともしばしばある。  「来日した当初、銀行口座の開設と携帯電話の契約には本当に苦労しました。口座を作るには携帯電話が必要だと言われ、携帯を契約するには銀行口座が必要と言われて……」  「通帳一冊を作るにも窓口で手続きをしてから受け取りまでに数週間待つ必要がある。韓国ではその場で完結することが多いため、当時は戸惑いの連続でした」  数年ごとに韓国へ帰省すると、社会インフラが塗り替えられるような大きな変化の速さに圧倒されることもあるという。  「今の韓国では、バスや地下鉄でもキャッシュレス化が徹底されており、現金を使わないことが当たり前になっています。コロナ禍が明けて久々に帰国した際、バスで現金が使えないと告げられ、慌ててバスを降りたこともありました」  新しいものを取り入れ変化するスピードは、韓国の方が速いと実感する。日本がこれからも海外出身者にとって働きやすい社会であり続けるためには、変化に対して保守的な側面は改善の余地があると感じている。  一方で、日本もコロナ禍以降、変化のスピードが速まったとも感じるという。  「ITエンジニアとして見ると、日本は今、変化の真ん中にいて、それが加速している国だと感じています。 ITエンジニアとしてやるべき仕事が多く、そこに魅力があります。企業の規模に関係なく、自分の仕事によって何か変化していく実感が持てます」

 現在は、妻と中学生になる息子の3人で、福岡で生活している。  「家族も日本での暮らしに満足しています。物価や家賃などは近年やや上がってきていますが、社会環境が比較的安定しています。また、韓国よりも個人の個性や能力が尊重される雰囲気もあります。自分の努力次第で、仕事以外の悩み(生活の不安定さ)に揺さぶられることなく成長していける環境だと感じています」  韓国のスピード感ある競争社会と、日本の丁寧な合意プロセスや個を重んじる文化。リュさんはその両方を経験した上で、今の環境に自分なりの納得感を見いだす。  私たちが日頃、当然のこととしてあまり省みることのない「社会の安定」や「個を認める文化」は、働く人の安心感や成長を支える強みになっていると感じさせられる。  これらの強みを生かしつつ、変化への恐れを手放したとき、日本社会は多様な背景を持つ人々にとってより働きやすい場所へと進化していくのかもしれない。

ITmedia ビジネスオンライン

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