80代の修道女3人が教区に反抗、介護施設から逃亡して元の修道院に戻る オーストリア

修道女のレジーナさん、リタさん、ベルナデッテさんは老人ホームから逃げ出し、かつて住んでいた修道院で暮らしている/Angelika Warmuth/Reuters

(CNN) オーストリア・ザルツブルクで、80代の修道女3人が教区の方針に背いて介護施設を抜け出し、かつて暮らした修道院に戻って、そこで生活を続けている。

今月4日、修道女のレジーナさん(86)、リタさん(81)、ベルナデッタさん(88)の3人は、長年を過ごしたアルプス山中の修道院兼女子校「シュロス・ゴルデンシュタイン」に戻った。これに対して、地元の教会は不快感を示している。

3人が到着した際、修道院には電気も水道も通っておらず、支援者たちが水や非常用発電機を持ち込んだ。CNN提携局ORFが伝えた。

かつての教え子たちが日常生活の手助けをし、かかりつけの医師が医療を提供しているという。

3人は修道院に戻ってからインスタグラムで積極的に活動し、わずか1週間余りで1万人を超えるフォロワーを獲得した。アカウントを通じて、日々の祈りや食事、ミサ、世界中の記者とのインタビューの様子などを発信している。

3人は介護施設に戻ることを拒否している/Angelika Warmuth/Reuters

階段昇降機がない修道院の階段を慎重に上る姿や、半ば廃虚と化した建物を清掃する様子も公開。ベルナデッタさんが詰まった流しを掃除する動画も投稿された。

3人と、その上司にあたるマルクス・グラースル主席司祭との対立は2023年末にさかのぼる。3人は望まないのに修道院から退去させられたと主張している。

3人が先月、地元メディアで、グラースル氏とザルツブルク大司教区に対していくつかの告発をしたことで事態はエスカレートした。

3人が介護施設を出た際、グラースル氏は声明で、状況が「まったく理解できない」と述べ、3人は自らの将来について「集中的な話し合い」を行っていたと言い添えた。

「修道院の部屋はもはや使用できず、秩序立った介護の要件をまったく満たしていない」とグラースル氏は述べた。「特に修道女たちの健康状態が不安定であるため、ゴルデンシュタイン修道院での自立した生活はもはや不可能なことは明らかだ」

今月6日には、3人が「自分たちを過大評価しており、医療上の緊急事態が発生する可能性がある」とする声明を新たに発表して、懸念を示した。

修道院はザルツブルク近郊にある/Angelika Warmuth/Reuters

22年から修道院の運営を担っているライヒャースベルク修道院はコメントの求めに対して、グラースル氏の声明を引用するにとどまった。

ORFによると、ライヒャースベルク修道院はシュロス・ゴルデンシュタインを引き継いだ際、3人の健康が許す限り引退後もそこにとどまることを認めると伝えていた。

ORFによれば、3人の修道院での長期的な将来は依然として見通しが立っていないが、現在は部屋に電気と温水が通っているという。3人は介護施設に戻ることには断固反対している。「あの老人ホームで死ぬ前に、むしろ草原に行き、そのようにして永遠へと旅立ちたい」とベルナデッタさんは英BBCに語った。

ライヒャースベルク修道院の報道担当はORFに対し、介護施設に戻ることは「避けられない」と述べた。

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