「離婚したのに一緒に住む」加藤ローサさんと松井大輔さん 法的に2人の関係はどうなる?

俳優の加藤ローサさんが、サッカー元日本代表の松井大輔さんと離婚していたことを公表しました。

8月17日に放送されたテレビ番組「おしゃれクリップ」に出演し、明らかにしたもので、加藤さんは「実は今は籍を抜いて、新しい私たちの形で一緒に生活は続けつつ、ちょっと夫婦という形を変えて…」と語りました。

加藤さんは松井さんとの間に、現在中学生と小学生の子ども2人がいます。離婚後も同居していることについて、松井さんとともに、「親としての役割を果たしたい」という思いが共通であると話しました。

番組にVTR出演した松井さんも「変わらず一緒に住んでいますし、紙(離婚届)の問題だけと思う」と述べました。

離婚後も同居を続ける場合、法律上の扱いはどうなるのでしょうか。夫婦のかたちは様々ですが、離婚したものの「内縁関係」とみなされる可能性はないのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

●事実婚とはどう違う?

━━離婚後も同居を続ける場合、法律上はどのように扱われるのでしょうか。

離婚届を提出すれば法律上の婚姻関係は終了します。その後の同居は、あくまで「合意に基づく共同生活」であり、法的にはルームメイトや友人との同居と同様に扱われます。民法752条の「同居義務」は離婚により消滅するため、扶養義務や婚姻費用分担義務もなくなります。

━━同居したままでは、いわゆる「事実婚」(内縁関係)とみなされないのでしょうか。

形式的には離婚していても、実質的に夫婦のような生活(協力・扶助・経済的共有など)を続けている場合、事実婚と評価される可能性があります。事実婚と認定されると、以下のような法的効果が生じることがあります。

• 婚姻費用の分担義務
• 財産分与請求権
• 不貞行為に対する慰謝料請求権
• 日常家事債務の連帯責任

●離婚した夫婦が同居を続ける場合の注意点

━━離婚した元夫婦が同居を続ける際、気をつけるべき点があれば教えてください。

次のような点を注意すべきでしょう。

・生活費・家事分担の明確化

法的義務がないため、費用負担や家事分担については事前に合意しておかないとトラブルの原因になります。

・世帯分離の検討

同居していると、児童扶養手当や寡婦控除などの公的支援が受けられなくなる可能性があります。住民票上の世帯を分ける「世帯分離」を行うことで、行政上の不利益を回避できる場合があります。

・事実婚とみなされるリスク管理

生活実態が夫婦に近いと、第三者(行政や裁判所)から事実婚と判断される可能性があります。その結果、他の異性との交際が「不貞行為」とされ、慰謝料請求の対象になることも。

・子どもへの配慮

同居によって子どもの精神的安定が保たれる一方、親同士の関係が悪化すると逆効果になることもあり得ます。養育費の支払義務は離婚後も継続するため、取決めは明確にしておく必要があります。

このように、離婚後の同居は法的には可能ですが、その実態によって「単なる同居人」か「事実婚」として扱われるかが分かれます。

事実婚とみなされると、法律婚に準じた義務や権利が発生するため、生活のルールや費用分担、行政手続などを事前に整理しておくことが重要です。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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