OTC類似薬は保険適用維持へ:湿布薬や風邪薬の利権を巡って医師会が徹底抗戦
社会保障
市販薬と同等成分の「OTC類似薬」を巡る見直しで、厚生労働省が「保険適用は維持しつつ窓口負担を増やす」という妥協策に傾いていることが分かった。湿布薬の処方を巡って医師会が強硬に抵抗し、厚労省も政治も動かない構図がまたも表面化した形だ。
- 厚労省はOTC類似薬の公的医療保険の適用維持を軸に調整・従来どおり1〜3割負担で受診できるが、一定の追加負担を求める案を提示。・保険から外して10割負担にする案もあったが、「受診控えによる健康悪化」を懸念して見送る方向。
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追加負担の対象外も設定へ・18歳以下の子ども、長期的にOTC類似薬を必要とする慢性患者などには追加負担を課さない案。
・「弱者保護」を掲げた形だが、制度の複雑化は避けられない。
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背景に医師会の強い抵抗・湿布薬や風邪薬の処方はリスクが低く、診察時間もほとんどかからないため、街のクリニックにとって安定収入の柱。・OTC類似薬の保険外しは集患手段を直撃するため、医師会は徹底抗戦。
・一方、高額療養費の負担引き上げは開業医の利益に影響せず、医師会が強く反対しない点が対照的。
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制度改革の本丸は「保険財政の正常化」だが…・OTC薬の薬局購入促進、サブスク診療の緩和、高齢者の自己負担増、医師以外の医療行為の拡大、中小病院の統廃合など、必要な改革は広範。・しかし、これらの多くは医師会や高齢者層の抵抗が大きく、政治が踏み込めていない。
・今回の見直しも、既得権の維持を前提にした微調整にとどまる可能性が高い。
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厚労省は年内にも具体案を整理・2026年度の制度施行に向け、患者負担額の上限設定など詳細な制度設計を詰める。
・医療費削減と現役世代の負担軽減を掲げながらも、大きな制度改革には踏み込めていない。
OTC類似薬の見直しは、本来なら保険制度改革の入口であり、若年層の保険料負担を軽減する重要な議題だ。しかし、医師会の既得権と高齢者の反発を恐れ、厚労省と政治はまたしても「保険適用は守るが窓口負担だけ増やす」という中途半端な妥協に落ち着きつつある。医療費の膨張が続く中、本質的な改革は今回も先送りされる可能性が高い。