健康保険証は「マイナ保険証」に移行
2025年12月1日、全ての健康保険証の有効期限が満了を迎えました。これにより、12月2日から健康保険証は、マイナンバーカードを基本とする「マイナ保険証」に移行しました。
マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)自体は、2021年10月からスタートし、24年12月2日以降は、新規の健康保険証発行はされず、原則マイナ保険証に1本化されていました。12月1日をもってすべての健康保険証が有効期限を迎えたため、以降はマイナ保険証が「基本」となりました。
今後、医療機関・薬局の受付では「マイナ保険証」を、もしマイナ保険証を持っていない場合は、「資格確認書」を提示することとなります。
マイナ保険証の主な目的は、医療情報の共有化により、「より良い医療を受けられるようにすること」です。加えて、「マイナポータル」でスマホなどから過去の検診結果や薬剤情報、医療費などが確認できるため、自分の医療情報をすぐに把握できる、という点も大きなメリットといえます。
詳細は別記事で紹介していますが、マイナ保険証では、マイナンバーカードのICチップを「確実な本人確認」として利用します。これにより「オンライン資格確認等システム」で管理される医療情報を、全国の医療機関・薬局に提供できるようにします。患者にとってはよりよい医療につながるほか、病院や薬局等の医療従事者にとっては、最新データを自動取得することによる業務効率化や入力誤り等の削減が図れることがメリットとなります。
また健康保険証は、写真が無いため、本人確認書類としては使いにくくなってきています。不正利用の防止の観点からも、マイナンバーカードへの移行が急がれました。
なお、マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録は8,877万件(マイナカード保有者の87.8%)と、登録者自体はかなり多いのですが、10月時点での医療機関・薬局におけるマイナ保険証の利用件数は、利用率は37.14%にとどまっています。
マイナ保険証を持っていない場合や、マイナンバーカードを「持っていない」「取得予定がない」といった場合は、どうすればよいのでしょうか?
その場合は、「資格確認書」が無料で交付されているため、それを医療機関に提示することで、保険証と同様に医療を受けられます。事前に申請を行なわなくても、勤務先や各自治体から、現行保険証の有効期限が切れる前に交付されているはずです。
なお厚生労働省では、2026年3月末までは、有効期限が切れた従来の保険証を持参した患者に対し、全額自己負担ではなく一定の負担割合(所得に応じ、1~3割)で医療機関等を受診できるよう自治体・医療機関等に対して周知しています。そのため、あと数カ月は健康保険証を使えるケースもあるようです。
ただし、これは猶予措置ですので、この期間中にマイナ保険証もしくは資格確認証を使うよう準備をしておきましょう。
多くの利点がある「マイナ保険証」ですが、まだ「使い方がわからない」という人も多いようです。厚生労働省なども積極的に周知しており、また医療機関でも案内してくれるケースもあるので、この機会に確認しておくとよいでしょう。
マイナポータルのほか、医療機関に設置されている「顔認証付きカードリーダー」からのマイナ保険証登録なども可能となっています。また、現在は一部の医療機関のみですが、「iPhoneのマイナンバーカード」での受付もスタートしています。今後、スマホだけで受診などの機会も増えていくと思われます。
マイナ保険証は、利用者、医療機関のそれぞれにメリットがある仕組みです。利用者としてしっかり備えておくことで、そのメリットを享受できるようになると思います。