米上院、AI州規制禁じる条項の削除を可決-トランプ氏税制法案から
Emily Birnbaum、Oma Seddiq、Steven T. Dennis
- テネシー州選出議員、AIによる声の模倣禁じる州法への影響懸念
- テック企業、AIへの州規制抑制の働きかけ続ける見通し
米上院は1日、トランプ大統領の大型税制・歳出法案から人工知能(AI)への州規制を禁止する条項を削除することを、99対1の圧倒的多数で可決した。事前に妥協案が頓挫しており、大手テック企業に批判的な人々には勝利となった。
採決は、6月30日から一晩中続いた大型税制・歳出法案のマラソン審議の中で行われた。トランプ政権当局者や、シリコンバレーの共和党支持者を含む幅広い層が条項を指示していたものの、否決された。
州規制を禁じる条項の削除を主導したブラックバーン上院議員は、音楽産業の中心地であるテネシー州ナッシュビルが地元だ。ブラックバーン氏は、この条項が、AIによるミュージシャンの声の模倣を禁じる同州の州法「エルビス法」を阻む可能性があると懸念を示していた。
この条項は、マイクロソフトやメタ・プラットフォームズといった大手テック企業、さらにはアンドリーセン・ホロウィッツのようなベンチャーキャピタル企業にとって最重要課題の一つだった。ラトニック商務長官もこのAI条項を支持し、国家安全保障のために不可欠だと述べていた。
上院で削除が決まったものの、テック業界は今後の連邦テック政策で、州によるAI規制の抑制を引き続き働きかけていくとみられる。
米国内の各州では、無断ディープフェイク、著作権侵害、アルゴリズムによる差別など、AIがもたらすリスクから国民を保護するための新たな法律が、すでに数十件成立している。一方、連邦議会はAIに対する包括的な規制をまだ可決していない。
原題:Senate Removes Tax Bill Provision Limiting State AI Regulation(抜粋)
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