【測定結果説明とその後】健康物語が教養に 中路重之「QOL健診 新しい戦略」⑨

 図はQOL健診の測定終了直後に受診者に渡される結果表です。左の上に、“人間の健康の一生”(健康物語)の図があります。まずこの説明。左が若い時で、右に行くほど年齢を重ねていきます。

 若い頃の生活習慣など(一番左)が加齢とともに複雑に絡み合って、真ん中のメタボ(リックシンドローム)やロコモ(ティブシンドローム)になり、最終的には一番右の致命的な病気になる、健康の一生です。

 人の健康には二つの大きな流れがあります。健康物語の上と下の流れです。上はメタボの流れで、下はロコモの流れです。

 まずメタボの流れです。

 生活習慣が積み重なる(年を取る)とメタボになります。肥満、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の四つの病気(これら病気の前の状態を含めて)をまとめてメタボと言います。

 メタボは動脈硬化や老化を早め、3大生活習慣病(がん、心臓病、脳卒中)や認知症につながります。最近、歯周病も同じような病態を引き起こすことが明らかになり注目されています。

 次にロコモの流れです。

 ロコモとは体の屋台骨(骨、筋肉、関節)が弱くなった状態です。寝たきりにつながります。

 このように、健康物語を理解することが、健康教養(ヘルスリテラシー)をつけることにつながります。

 結果表の全体の構成は、健康物語に似せた形にしてあります。左、真ん中、右の順に説明します。

 一番左が生活習慣の聞き取り検査です。特定健診の聞き取りと同じです。次に真ん中です。ここに測定データが記載されています。一番下の方、3分の1ぐらいの所に通常の健診の血液検査のデータも載せてあります。

 つまりQOL健診と通常健診を受けると体の大体の状態が網羅的に分かることになるわけです。

 次に右です。上の方は、真ん中の部分のデータを総括したものです。一番右下が最終的な受診者の健康課題です。

 受診者はこの結果を手に持って健康の勉強をします(専門家の話か動画)。そして最終的には、健康物語をよく理解してもらいます。これがQOL健診です。

 QOL健診は年一回の受診ではなく、毎月定期的なチラシが配布され、それに沿ってチャレンジします。例えば、今月は、健康運動のやり方、今月は歯の磨き方、今月は食塩摂取の仕方などです。これらを積み重ねることで次回受診の際の結果改善を目指します。

(弘前大学名誉教授)

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