20万光年先で輝く若き星々 ハッブル宇宙望遠鏡とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した2つの散開星団
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測した散開星団「NGC 456」と「NGC 460」です。
2つとも約20万光年先の小マゼラン雲(小マゼラン銀河)にある若い星で構成された星団で、NGC 456は中央右、NGC 460は中央左下に位置しています。
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)で観測した散開星団「NGC 456」(中央右)と「NGC 460」(中央左下)(Credit: NASA, ESA, and C. Lindberg (The Johns Hopkins University); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))】可視光線を中心に赤外線や紫外線で観測するハッブル宇宙望遠鏡は、星々がその放射によってガスと塵(ダスト)の雲に泡を作り出す様子を、青色に着色された電離ガスからの輝きとして捉えました。
一方、主に赤外線観測を行うジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、可視光線では影のように見える塵から放出された赤外線も捉えていて、画像では赤色に着色されている塵の塊やフィラメント状(ひも状)の繊細な構造を捉えています。
誕生したばかりの宇宙に存在していたのはほぼ水素とヘリウムだけで、天文学で「金属」や「重元素」と総称されるより重い元素は、恒星内部の核融合反応や超新星爆発などを通じて生成されることで、その量が次第に増えてきたと考えられています。
小マゼラン雲は塵を生成するのに必要な重元素の量が天の川銀河と比べて約5分の1から10分の1と少なく、初期宇宙の銀河に似ていると考えられています。
天の川銀河のすぐ隣にある小マゼラン雲を観測することで、天文学者は初期宇宙の塵に関する手がかりを得ることができるのです。
2つの宇宙望遠鏡の観測データから作成されたこの画像は、NASA=アメリカ航空宇宙局が2025年7月7日付で公開しています。
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST、左)とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST、右)で観測した散開星団「NGC 456」(Credit: NASA, ESA, and C. Lindberg (The Johns Hopkins University); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))】 【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST、左)とジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST、右)で観測した散開星団「NGC 460」(Credit: NASA, ESA, and C. Lindberg (The Johns Hopkins University); Processing: Gladys Kober (NASA/Catholic University of America))】文/ソラノサキ 編集/sorae編集部