太陽系外惑星に迫る NASA公式のハッブル宇宙望遠鏡ポスター

【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)

(引用元:NASA)

こちらは、NASAが公開している「ハッブル宇宙望遠鏡(HST:Hubble Space Telescope)」の公式ポスターです。鏡筒をのぞき込むような構図の中に、赤く輝く恒星と、その周囲をめぐる複数の惑星とその軌道が描かれています。

このポスターのテーマになっているのは「太陽系外惑星」です。これらの惑星は地球から非常に遠く離れているうえ、まぶしい恒星のすぐそばを回っているため、直接「惑星の姿」を撮影するのは困難です。そこで、惑星そのものを“写す”のではなく、恒星の光の変化から惑星の存在や性質を探る観測手法が重要になります。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の鏡の中に、赤く輝く恒星とその周囲を回る複数の惑星と軌道が描かれたNASA公式ポスターのイラスト(NASA / JPL-Caltech)】

1990年4月24日にスペースシャトル「ディスカバリー」によって宇宙へと運ばれたハッブルは、地上からでは地球大気に吸収されてしまう紫外線や、きわめて暗い天体の光までとらえることで、私たちの宇宙観を大きく変えてきました。銀河や星雲だけでなく、太陽系の外にある系外惑星の観測にも大きく貢献しています。

たとえば、恒星の前を惑星が通過することで恒星の光がわずかに暗くなる現象(トランジット)を観測する「トランジット法」を用い、その光を詳しく分解することで、系外惑星の大気に含まれる成分の手がかりを得ることができます。2001年には、このトランジット法を用いた観測により、系外惑星「HD 209458 b」で史上初めて大気成分(ナトリウム)が検出されました。(※)

【▲ 系外惑星のトランジットによって恒星の明るさが変化する様子を示した動画】 (Credit: ESO/L. Calçada)

ハッブルはこうした観測を通じて、「遠く離れた惑星にも大気があるのか」「どのような性質を持っているのか」といった謎に迫っています。

このポスターは、そんなハッブルの“視線の先”に広がる世界を、ポップで印象的なビジュアルにまとめたものと言えます。NASAのサイトでは高解像度のPDFが無料公開されていますので、印刷して部屋や教室に飾ってみましょう!

※…観測したのは2000年、検出・発表が2001年です。

編集/sorae編集部

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