クラブのため「汚れ役」 浦和レッズに復帰、「野人」岡野雅行さん
引退から約12年たっても、人気は衰えていなかった。
4月25日の夜。「埼玉スタジアム2002」(さいたま市緑区)で、サッカーJ1・浦和レッズとサンフレッチェ広島との一戦があった。試合開始の約1時間半前、特設ステージにスーツ姿の「元選手」が現れた。レッズが主催するトークイベントに出演するためだ。サポーターからは「お帰り!」と歓声が上がった。
17年ぶりにクラブに復帰した「野人」
「元選手」とは、岡野雅行さん(52)。かつてレッズなどでプレーし、日本代表としても活躍した。「野人」と呼ばれ親しまれた。
今年2月、レッズに17年ぶりに「復帰」した。初代「レッズ・ブランドアンバサダー」としてだ。
お酒を交えながらのトークイベントでは、同じくレッズOBで、現在はテレビ埼玉の番組「REDS TV GGR」のMC(司会・進行役)を務める水内猛さん(52)と対談。2人は岡野さんの現役時代のゴールパフォーマンスを「ボクシングのパンチを繰り出すよう」と振り返った。また、岡野さんは出場機会に恵まれない選手をアピールするなどの心配りも見せた。
「ブランドアンバサダー」は、広報や宣伝大使のような仕事だ。いくつかのJリーグチームも取り入れており、イベントの場などでチームとサポーター、地域をつなぐ役割などを担う。「野人」として知名度、人気のある岡野さんにとって、うってつけのポジションと言っていいだろう。
出番は負けが込んだ時
就任は2月1日付。そのプレスリリースにこんな抱負を載せた。「浦和レッズをさらにより多くの人に愛してもらうため、そして仲間を一人でも多く増やしていくために、熱く、いや『暑苦しく』精いっぱい努めさせていただきます」
レッズに復帰した直後、驚かされる出来事があった。JR浦和駅前で2月に開催されたシーズン開幕直前のイベント。集結した2000人以上のサポーターの「熱気」「パワー」に圧倒された。「すごいクラブに帰ってきたんだと再認識しました」
岡野さんは記者と向き合った時、アンバサダーの立場について「何でも屋」と表現し、意外な言葉を口にした。「『汚れ役』だと思っています」
その真意をこう語る。「レッズが勝っていればみんなが喜んでくれるから、僕の出番はない。負けが続いて追…