進化するゴルフウエアはどこまでがドレスコード的にOKなの? ゴルフ場の“中の人”に聞いた「アリ? ナシ?」の境界線

 今どきのゴルフウエアは単なるスポーツウエアの域を超えて、自己表現ツールとしての存在感を強めています。日常と地続きのようなデザインのものから、特別感を盛り上げる大胆で個性的なウエアもあり、ラインアップはますます多様化しています。

 好きなウエアに身を包んでラウンドすることが、ゴルフの楽しみのひとつだと考えるゴルファーも少なくありません。

 こうした流れを受け、ゴルフ場のドレスコードは以前に比べてかなり寛容になってきています。とはいえ、中には「それはドレスコード的にアリなの?」と思ってしまうスタイルが見受けられるのも事実です。ゴルフ場の“中の人”はこうした変化をどう受け止め、どのような対応を行っているのでしょうか、ゴルフ場運営会社やゴルフ場の担当者に話をお聞きしました。

「近年は、ジョガーパンツやパーカーなども広く受け入れられるようになっており、若年層を中心に定着しつつあります。派手なデザインや個性的なカラーリングも、ゴルフのファッション性を高める要素として評価できます。ただし、清潔感と節度を意識し、施設や同伴者に不快感を与えない範囲でお楽しみいただければと考えています」

最近は一見するとTシャツにしか見えないようなゴルフウエアもある(写真はイメージ) 写真:unsplash

 そう答えたのは、現在150のゴルフ場を運営(149直営 ・1運営委託)するパシフィックゴルフマネージメント(以下、PGM)の担当者です。

 栃木県内の某ゴルフ場担当者も、次のように話します。

「原則として、『ポロシャツの裾を外に出す』『ポロシャツの下にアンダーウエア』などはプライベートのプレーでは問題ないと考えます。運動に適している形状であれば、ジョガーパンツやパーカーも許容してもいいのではないでしょうか。しかし、公式競技やクラブ競技等においてはJGA(日本ゴルフ協会)のドレスコードに準拠する必要があると考えています」

 ジャケット着用が許されることの多い夏場を過ぎても、ジャケットを着ずに来場するケースについてはどうでしょう。アリなのか、ナシなのか。

「ゴルフ場ごとの考え方がありますので、良し悪しを論じるものではないかと思います。クラブハウス内での服装については、ゴルフ場が許容するのであればゴルフウエアやビジネスカジュアルのような服装で問題ないと、個人的には考えています」(栃木県内の某ゴルフ場担当者)

 こちらも寛容な印象を受けますが、「ゴルフ場ごと」という点を見逃してはいけません。ゴルフ場のドレスコードが一律にゆるくなったととらえるのではなく、TPO(Time・時、Place・場所、Occasion・場面)をわきまえることが重要なのです。

「ゴルフ場によっては、外部から見て“ドレスコードが厳しい”と受け止められる場合もありますが、それぞれのクラブが長年培ってきた伝統や会員の意識を反映したものであり、一概に否定すべきものではありません。ただし、時代の変化や来場者層の多様化をふまえ、運用面での柔軟性を持つことも今後の課題であると考えています」(PGM担当者)

 あるゴルフ場運営会社の担当者は、ゴルフはクラブスポーツとして発展してきた背景を強調します。

「ゴルフ場は、メンバーが共有する社交の場という位置づけにあります。そのため、ドレスコードは同じクラブに集う人同士が気持ちよく過ごすための配慮として考えられてきました。ゴルファーの服装は個々の好みを誇示するものではなく、クラブの品位や雰囲気を保つためのもの。それがドレスコードだと思います」

 前出の栃木県内の某ゴルフ場担当者は、ゴルフがスポーツである側面にも目を向けます。

「ラウンド中、コースの斜面を上り下りしたり、走ったりすることを考慮すると、スポーツに適した素材や動きやすい要素を含んだものにしていただきたいと思います」

 ドレスコードという言葉には、時に萎縮や対抗意識を感じさせる響きがありますが、本来は周囲と心地よく時間を共有するためのマナーです。なぜゴルフ場にドレスコードが存在するのかを考えれば、おのずとその場にふさわしい服装が見えてくるのではないでしょうか。

 万が一、場にそぐわないウエアで来場してしまった場合、ゴルフ場がどのように対応するのかも聞いてみました。

「まずは注意ではなく、ご案内という形を心がけています。ゴルフ場としての方針を丁寧にご説明し、ご理解をいただくことでお客様との信頼関係を保つよう努めています。強い制約ではなく、『なぜそのルールが存在するのか』をご理解いただくことを重視しています」(PGM担当者)

 栃木県内の某ゴルフ場担当者は、「ゴルフの楽しみの一つとしてファッションの要素もあるでしょうから、基本的には自由に楽しんで欲しいと思います」としたうえで、明らかなドレスコード違反が見られる場合には、「お声がけしています」といいます。

 ゴルフ場が大切しているのは、ドレスコードを押し付けることではなく、その背景にある考え方を共有すること。ゴルフ場の、「心地よい場を守ろうとする配慮」を意識すれば、ドレスコードの意義も自然と腑に落ちるはずです。

 そんなドレスコードをふまえ、ゴルフ場における非日常の時間そのものを楽しむことこそ、“通”のゴルファーへの第一歩といえるのではないでしょうか。

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