【中山GJ】「エコロデュエルを知っているのはお前だけ」前哨戦惨敗後に岩戸師が草野騎手にゲキ
<中山グランドジャンプ>◇19日=中山◇J・G1◇芝4260メートル◇4歳上◇出走12頭
魂の攻めが実った-。5番人気エコロデュエル(牡6、岩戸)がJ・G1初制覇を決めた。19年目の草野太郎騎手(36)、管理する岩戸孝樹調教師(58)ともに初制覇。勝ち時計は4分50秒5。上位人気3頭はジューンベロシティが4着、マイネルグロンが5着、スマイルスルーが6着に敗れた。
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腹をくくった。中盤の大いけ垣を跳び、エコロデュエルが仕掛けた。逃げるジューンベロシティに迫る。相手も譲らない。外回りの芝上でマッチレースを開始。3番手以下を10馬身以上離す。3角でけりをつけた。独走態勢。最終飛越で崩れ、草野騎手が左手を離したが、残した。8馬身差の完勝。鞍上は泣きに泣いた。「おえつしながら泣いちゃいました。ずっと勝ちたかったレースを勝ててよかったです」と、祝福の嵐にまみれた。
敗戦が生きた。前走阪神SJは4着。1週間後、岩戸師と1時間以上話し合い、心を揺さぶられた。「あれじゃダメだよ。エコロデュエルを知っているのはお前だけだよ。負けたら俺がけつを持つ。自分の気持ちを乗せて、思い切って乗ってくれよ」(岩戸師)。とにかく攻めろ-。草野騎手は「あの言葉は大きかったです。外回りに入ってからは落馬しようが、ケツまで下がろうか構わないという気持ちで乗りました」と男を上げた。
鞍上は昨年、当レースの2週前に落馬。右腕、右肩、頸椎(けいつい)を骨折し、ベッドの上でレースを観た。「頑張ってほしいけど、勝たれたら悔しい」。複雑な感情が、愛馬への思いを強くさせた。「アツいレースができました。やっとエコロデュエルの全力が出せました」。やればできると、結果で証明し続ける。【桑原幹久】
◆エコロデュエル ▽父 キタサンブラック▽母 クラリネット(ジャイアンツコーズウェイ)▽牡6▽馬主 原村正紀▽調教師 岩戸孝樹(美浦)▽生産者 下河辺牧場(北海道日高町)▽戦績 22戦5勝(うち障害12戦4勝)▽総収得賞金 2億2433万円(同2億1329万円)▽主な勝ち鞍 23年京都ジャンプS(J・G3)▽馬名の由来 冠名+決闘