中国GDP予想上回る:識者はこうみる
[16日 ロイター] - 中国国家統計局が16日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比5.4%増加し、市場予想を上回った。堅調な消費と鉱工業生産に支えられた。
市場関係者に見方を聞いた。
◎今年は成長鈍化へ、近く追加緩和
<キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ZICHUN HUANG氏>
中国経済は財政支援を背景に3月にやや勢いを取り戻し、第1・四半期のGDPが予想を上回った。
だが、それでも前四半期から成長を加速させることはできなかった。今後、輸出の減速が見込まれる中で、今年の成長は鈍化する見通しだ。
内需は政策支援で今後数カ月にわたって引き続き支えされるだろう。財政支出をさらに拡大する余地もある。近く追加の金融緩和が実施される可能性が高い。また、追加の金融緩和も近く実施されるとみられ、早ければ21日にも行われるだろう。
◎貿易戦争の影響は来月発表のデータに
<保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏>
中国経済は第1・四半期に予想を上回る伸びとなった。3月の経済活動データも全般的に加速しており、先に発表された好調な輸出データと一致している。貿易戦争による影響は来月のマクロ経済指標に表れるだろう。高頻度指標は地域の輸出が急激に鈍化したことを示唆している。サプライチェーン(供給網)は混乱しており、その波及効果が多くの国で表れる見込みだ。
次回の中国共産党中央政治局会議で、貿易戦争に対する政府の対応が明らかになるだろう。政府は年内に新たな景気刺激策を打ち出すと思うが、この会議ではないとみられる。
◎輸出前倒し反映、今後は鉱工業低迷リスク
<サクソ(シンガポール)のチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏>
好調な数字は根底にある脆弱性を覆い隠している。好調さの大部分は、今月の米関税発動を控えた輸出の前倒しを反映した可能性が高い。中国製品に対する関税が145%に引き上げられたことから、輸出の勢いが急速に衰え、鉱工業活動を低迷させるリスクがある。
市場は第1・四半期の数字を受け流し、厳しい外部環境やこれまでの消費支援による効果の減退に注目しているようだ。
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