AI時代、「オールカントリー“一択”」は終わるだろう(Finasee)
現在、長期投資を前提とした機関投資家の中で、世界でも最も高度な運用を行っている存在の一つが、米国の大学基金(Endowment)だという見方がある。 実際、イエール大学やハーバード大学などの大学基金は、運用責任者に数億円規模の報酬を支払い、外部コンサルティングファームなどの知見も取り入れながら、高度に組織化された運用を行っている。 そして重要なのは、こうした世界最高峰の投資家たちが、当然ながら「オールカントリー“一択”」で運用しているわけではない、という事実である。 実際のハーバード基金の資産配分を見ると、上場株式の比率は限定的であり、大きな割合をプライベートエクイティやヘッジファンドなどのオルタナティブ投資が占めている。 つまり彼らは、単に「上場株式を長期保有する」のではなく、投資先同士の相関、インフレ耐性、最大損失幅(ドローダウン)、景気局面ごとの耐性などを総合的に考慮し、高度に分散されたポートフォリオを構築しているのである。 つまり、世界最高峰の投資家たちはとっくに「単純な株式インデックス投資の先」に進んでいる。
もちろん、ここで私は、市民権を得た「オールカントリー積立投資」を否定したいわけではない。 前述のとおり、それは現実的な制約の中では極めて合理的な選択肢だったと考えている。 そもそも個人投資家には、大学基金のような商品アクセスも、情報もない。 プライベートアセットやオルタナティブ投資を検討しようとしても、 ・投資機会そのものにアクセスできない ・英文資料を詳しく読む必要がある ・契約条件が複雑 ・個人レベルでデューデリジェンスを行うのは現実的ではない など、多くの障壁が存在していた。 つまりこれまで個人投資家には、機関投資家のように膨大な情報を比較分析し、高度なポートフォリオ構築を実行する環境そのものが存在しなかった。 だからこそ、「シンプルなインデックス投資」が、多くの人にとって最も現実的な解だったのは十分に理解できる。