米景気後退確率「30〜50%」が半数 トランプ関税緊急調査

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「想定外」の厳しい内容となったトランプ関税は、米経済や国内企業の業績にどのような影響を与えるのか。日経ヴェリタスは4日、専門家ネットワーク「ヴェリタス・ラウンドテーブル」の参加者を対象に緊急アンケートを実施。41人が回答した。

「景気後退(リセッション)のリスクを織り込み始めた」。りそなアセットマネジメントの戸田浩司シニア・ファンド・マネージャーは4日の株価の値動きを見て、こう話す。4日の日経平均株価は前日比955円(3%)安の3万3780円と、3日に続き大幅に下落した。電機や機械など景気敏感株が売られる一方、食品や不動産、陸運などが上昇した。

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トランプ関税により米経済がリセッションに陥る確率はどの程度だろうか。今回の調査では有効回答数の5割が「30%以上50%未満」、3割が「30%未満」とした。日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは「リセッションの主観的確率は5%程度から25%程度になったとは思うが大きくはない」という。一方、JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは「相互関税を踏まえリセッション入り確率を3日に40%から60%に引き上げた」と回答した。

リセッション入りするかは今後の交渉次第でもある。交渉が進展し相互関税率が引き下げられれば景気の悪化は回避できそうだ。逆に交渉が難航すれば「設備投資の減退や個人の消費手控えが起こり、リセッション入りの確率は必然的に高まる」(ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジスト)。

日本への相互関税率は24%にのぼる。調査では7割が「引き下げられる」と回答した。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「相互関税の論拠はかつてないほどデタラメだ。24%を上限に交渉が始まる」と指摘する。トランプ氏は貿易赤字を輸出額で割るという単純な方法で各国の関税率を算定しているとされる。

引き下げには「米国の対日貿易赤字の減少に資するような対応策を具体的・定量的に示すことを求められる可能性がある」(SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミスト)。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「米国からの食料・LNGなどの輸入増加や米国向けの直接投資の増加などを含むディールを締結し、追加関税が一定程度引き下げられる」と予想する。

「米株価の下落やトランプ政権の支持率の低下が妥協を促す」(ソニーフィナンシャルグループの渡辺浩志金融市場調査部長)と期待する声もあった。一方で、引き下げは厳しいとの見方もある。

(松本裕子、小池颯、阿部真也、勝野杏美)

[デジタル版日経ヴェリタスで4月4日に公開した記事を一部抜粋]

3月14日創刊のデジタル版「日経ヴェリタス」は、「投資が分かり、面白くなる」がコンセプトの専門メディアです。豊富な専門家への取材にもとづくマーケット分析など、個人投資家の資産運用に役立つ実践的なコンテンツです。ご購読いただくと、緊急調査の結果一覧を含むこの記事の全文をお読みいただけます。

《回答者一覧》

BNPパリバ証券 中空麻奈/JPモルガン証券 西原里江/SBI新生銀行 森翔太郎/SMBC信託銀行 山口真弘/SMBC日興証券 野地慎、牧野潤一、安田光/UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント 青木大樹、小林千紗/UBS証券 守屋のぞみ/アイザワ証券 三井郁男/あおぞら銀行 諸我晃/アクサ・インベストメント・マネージャーズ 木村龍太郎/朝日ライフアセットマネジメント 武重佳宏/アセットマネジメントOne 浅岡均、清水毅/アライアンス・バーンスタイン 穂谷栄一郎/伊藤忠総研 髙橋尚太郎、宮嵜浩/インベスコ・アセット・マネジメント 木下智夫/オールニッポン・アセットマネジメント 森田長太郎/しんきんアセットマネジメント投信 藤原直樹/ソニーフィナンシャルグループ 渡辺浩志/東海東京インテリジェンス・ラボ 長田清英/東海東京証券 佐野一彦/日興アセットマネジメント 神山直樹/農林中金全共連アセットマネジメント 大澤豪/野村アセットマネジメント 石黒英之/ピクテ・ジャパン 田中純平/ベアリングス・ジャパン 溜学/松井証券 大山季之、窪田朋一郎/丸紅経済研究所 今村卓/みずほ銀行 唐鎌大輔/三井住友信託銀行 瀬良礼子/三井住友トラスト・アセットマネジメント 上野裕之/三菱UFJ信託銀行 芳賀沼千里/三菱UFJモルガン・スタンレー証券 井上健太、大西耕平/明治安田総合研究所 小玉祐一/りそなアセットマネジメント 黒瀬浩一 (敬称略)

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