ロシア産石油・ガス、世界市場から排除すると ウクライナ支援の「有志連合」が表明

画像提供, EPA/Shutterstock

ウクライナを支援する欧州中心の「有志連合」は24日、イギリス・ロンドンで首脳会議を開き、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にウクライナでの戦争終結を迫る取り組みの一環として、「ロシア産石油・ガスを世界市場から排除」すると約束した。

「有志連合」には20カ国以上が参加する。首脳会議を主催したイギリスのキア・スターマー首相は、「我々はロシアの戦争マシーンへの資金供給を締め上げている」と述べた。

ここ数日、イギリスとアメリカがロシアの二大石油企業に制裁を科し、欧州連合(EU)がロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入を2027年から禁止すると発表するなど、西側諸国はロシア産エネルギーを標的とした措置を打ち出している。

「有志連合」首脳会議に出席するためロンドンを訪れたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに「圧力」をかけることが、戦闘を停める唯一の方法だと述べた。ただ、今回の首脳会議では、ウクライナへの長距離ミサイルの供与に関する発表はなかった。

プーチン氏は23日、「そのような兵器がロシア領土への攻撃に使用されれば、(中略)圧倒的な対応を取ることになる」と警告した。

ロシアは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した。

スターマー氏は首脳会議後の共同記者会見で、プーチン氏は「平和について真剣ではない」と指摘。そのため、ウクライナの同盟国はウクライナ支援に関する「年内の明確な計画」に合意したのだと語った。

合意には、「ウクライナの防衛資金に数十億ユーロを活用する」ため、ロシアの国家金融資産を標的にすることも含まれているとしたが、詳細は明かさなかった。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、ロシア資産を原資とする、ウクライナのためのいわゆる「賠償ローン」について問われると、今年のクリスマス・イブまでに決定されることを望んでいると述べた。

「有志連合」は24日、ウクライナの防空体制を強化するとも約束した。ウクライナはほぼ毎日、民間人やエネルギーインフラに対するロシアの空爆にさらされている。

ゼレンスキー氏は、「ロシアは冬の寒さを(ウクライナを)苦しめる道具にしようとしている」、「我々を打ち砕こうとしている」と警告した。

ウクライナの同盟国が、ロシアのウクライナ攻撃をどうやって阻止するつもりなのか、具体的な策が示されることを期待していた人々にとって、ロンドンでの首脳たちの発言は失望を招く内容だったと思われる。

とはいえ、ウクライナの人々にとってありがたい発言が多かったのは間違いない。例えばスターマー首相は、イギリスと、ウクライナのほかの同盟国はロシアへの圧力を強める用意があると述べた。

しかし、具体的にどのように戦況を変化させたり、プーチン氏を交渉の場に引き出すのかは示されなかった。

画像提供, EPA/Shutterstock

画像説明, ウクライナ当局によると、北東部ハルキウでは21日夜から22日朝にかけてロシアの攻撃があり、幼稚園が被害を受けた。画像は攻撃を受けた幼稚園で活動する救助隊(22日、ハルキウ)

こうした中、ウクライナの人々は、ゼレンスキー氏のイギリス訪問以上に日々の生活における問題の方が重要だと、BBCに語った。

南部オデーサのヤナ・コロミエツさんは、同市では電気や暖房、水が足りていないと話した。

「さらに恐ろしいことが起きている。ロシアは私たちが住む地域に誘導爆弾を投下し始めた」と、コロミエツさんは付け加えた。

首都キーウのテティアナ・ダンケヴィチさんは、ロシアの攻撃による停電や水供給の問題が生活を「非常に困難」にしていると語った。

「この戦争がすぐに終わるとは思えない」と、ダンケヴィチさんは述べた。

24日の首脳会議では、ウクライナのエネルギーインフラへの支援強化も議論されたが、具体的な発表はなかった。

首脳会議には、オランダのディック・スホーフ首相や北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長も出席した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領ら複数の首脳は、ビデオリンクで参加した。

ウクライナや西側の同盟国は、広範な前線で戦闘を直ちに凍結し、交渉を開始すべきだとするトランプ氏の提案に同意している。

しかし、ロシアはこの案を拒否。ウクライナやその同盟国が「事実上の降伏」に等しいと指摘する条件を飲むよう繰り返し迫っている。

ゼレンスキー氏は24日朝、ロンドン郊外のウィンザー城でイギリス国王チャールズ3世と面会した。2人が顔を合わせるのは今年に入って3回目。

関連記事: