トランプ政権によるグアテマラの子どもたちの強制送還、米裁判所が差し止め

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画像説明, 米テキサス州で今年行われた強制送還

アメリカの連邦地裁は8月31日、付き添いのいないグアテマラの子どもたち数十人を強制送還しようとするドナルド・トランプ政権の措置を、一時的に差し止めた。

この差し止め命令は、子どもたちが飛行機に乗せられ、グアテマラに送られようとしていると報じられたのを受け、首都ワシントンにある連邦地裁のスパークル・スークナナン判事が出した。弁護団は子どもたちについて、虐待や迫害の危険性があると主張していた。

子どもたちは付き添いなしでアメリカに到着。入国審査が行なわれている間、政府の保護下に置かれている。

グアテマラのベルナルド・アレバロ大統領と米司法省の弁護士らは、子どもたちは強制送還されるのではなく、家族と再会するために送還されると主張している。

アレバロ氏は今回の差し止め命令を批判。トランプ米大統領に提案した試験的プログラムのもと、子どもたちを帰国させるために闘い続けると宣言した。

今回の動きは、移民擁護団体が31日早く、約600人の子どもたちがテキサス州で飛行機に乗せられ、強制送還される可能性があるとして、緊急差し止め命令を求めたことから始まった。

スークナナン判事はその後、10~17歳の子どもたち10人をグアテマラに送ることを禁止する一時的な差し止め命令を出した。

同日午後に急きょ開かれた審理では、スークナナン判事は差し止め命令の対象を、強制送還の危険性があるとされる、付き添いのない子ども全員に拡大した。この命令は14日間効力をもつ。スークナナン氏は、ジョー・バイデン前大統領が指名した判事。

スークナナン判事は審理で、トランプ政権の弁護士らに、飛行機が子どもたちを乗せて出発していないことの保証を求めた。

ドリュー・エンサイン司法次官補は、関連するすべての飛行機は国内で停機中だと説明。1機が離陸してから戻った可能性があるとした。

次官補はまた、グアテマラ政府と子どもたちの親族が、再会を要望したと述べた。これについて擁護団体は、少なくとも一部の事案で事実と異なるとしている。

子どもたちの弁護団は、裁判所に出した書面で、今回の政府措置について、アメリカに単身入国した子どもの保護に関する連邦法に違反すると主張した。また、子どもたちの一部は入国管理局で係争中で、送還を恐れており、その恐怖は信頼に足りるものだとした。

今回の訴えを起こした「全国移民法律センター」のエフレン・C・オリヴァレス氏は、「連休の週末の真夜中に、トランプ政権は弱い立場のおびえた子どもたちをベッドから無理やり引っ張り出し、グアテマラの危険な場所に戻そうとした」とする声明を発表。「何百人もの子どもたちが取り返しのつかない危害を被る前に、裁判所がこの不公正を防いでくれたことに胸をなでおろしている」とした。

一方、ホワイトハウスのスティーヴン・ミラー次席補佐官(移民問題担当)は、判事が飛行機を止めたことを批判。「今回の未成年者たちは全員、両親がグアテマラの自宅にいると自己申告している」、「それなのに民主党員の判事は、子どもたちに親と再会させることを拒んだ」とソーシャルメディア「X」に書いた

トランプ氏は大統領2期目に入ってから、手続きを経ていない移民を排除する大々的な取り組みに着手した。昨年の大統領選で公約したもので、大きな支持を得てきた。

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