経常収支、1月は2年ぶり赤字 春節と円安が影響

 3月10日、財務省が発表した国際収支速報によると、1月の経常収支は2576億円の赤字と、2023年1月以来2年ぶりの赤字となった。写真は、横浜の港で輸出を待つ新車。2017年1月、横浜で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 10日 ロイター] - 財務省が10日発表した国際収支統計速報によると、1月の経常収支は2576億円の赤字と、2023年1月以来2年ぶりの赤字となった。赤字幅は市場予想を若干上回った。貿易収支の赤字幅が2兆9379億円と過去2番目の規模に拡大したことが影響した。

為替円安が響いたほか、1月下旬からの中国の春節(旧正月)を背景に輸出の鈍化などで対中赤字が増えた。

財務省の担当者は、1月は春節により輸出が鈍化することがよくあるため、1─3月をならしてみる必要があるとし、経常収支の赤字基調への転換を示唆するものではないと説明した。

貿易・サービス収支は3兆4145億円の赤字と、23年1月以来の大きさとなった。ただ、サービス収支の赤字幅は4766億円と、前年から2000億円程度縮小。訪日外国人旅行者数が前年比約40%増えて過去最高となり、「旅行収支」が黒字幅を拡大したことが要因。

一方、第1次所得収支は3兆6015億円の黒字と黒字幅が拡大した。同収支は、海外直接投資や証券投資の収益および金利や配当収入などから成り、貿易収支に代わる「経常収支の稼ぎ頭」となっている。

海外証券投資は円安になればその分換算額が増えるほか、海外子会社からの配当金が増えたとみられる。

第2次所得収支は4447億円の赤字と、赤字幅が若干縮小した。

伊藤忠総研の主席研究員、宮崎浩氏は経常収支の黒字について、日本の海外投資からのリターン・収入は、それを利用した対米投資につながると指摘。トランプ米大統領にとっても良いことで、日米両国が通商・貿易政策面で「ウィンウィン」の関係になり得るとみる。

*財務省の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

Reporting by Tetsushi Kajimoto

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