ロシアの黒海主要港をウクライナが急襲 キーウでは攻撃で6人死亡

ウクライナ軍は黒海に面するロシアの主要港ノボロシースクを夜間に攻撃し、ノボロシースク当局は非常事態を宣言した。一方、ロシアもウクライナの首都キーウに幅広い空襲を仕掛け、同市では少なくとも6人が死亡、複数の住宅建物が損傷した。

  ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍がロシア領に向けて長距離巡航ミサイル「ネプチューン」を発射したことを認め、ロシアによる「継続中のテロ」への「完全に正当な」対応だと主張した。また、ウクライナ防空部隊はロシアの14発のミサイルを「無力化」したが、それでも民間施設が攻撃を受けたと説明した。

  ゼレンスキー氏は「ロシアはウクライナの都市に対するテロを続けている。特に民間インフラが標的とされ、ロシアが昨晩狙ったのは、主にキーウの住宅街とエネルギー施設だった」とX(旧ツイッター)に投稿した。

  ロシアは冬を前にウクライナのエネルギー供給網をまひさせようと、同国の電力関連施設に対する攻撃を強化。ロシア国防省は14日、ウクライナの軍産複合施設やエネルギー施設を標的に、ドローン(無人機)や極超音速弾道ミサイル「キンジャール」を含む精密誘導兵器を使った「大規模な」攻撃を実施したとテレグラムで発表した。

ロシアによる攻撃の被災現場で活動するウクライナ救急サービス(14日公表の写真、キーウ)

  ノボロシースクはクリミア半島の東方に位置する。現地当局が14日早朝にテレグラムで説明したところによると、ロシア国営パイプライン運営企業トランスネフチが保有するノボロシースク港石油ターミナルの貯蔵施設にドローンの破片が落下し、火災が発生した。

  現場には50台以上の消防車が投入され、鎮火したと当局は発表したが、損傷の詳細は伏せている。ノボロシースクのクラフチェンコ市長はテレグラムで、非常事態宣言の発令を明らかにした。トランスネフチに状況についてコメントを要請したが、すぐには応答がなかった。

  同所を運営するデロ・グループは、ノボロシースクのコンテナターミナルが破片の落下で損傷したが、通常通り稼働を続けているとテレグラムで説明。同じくデロが運営するロシア最大の穀物ターミナルもドローンの破片による影響はあったが、稼働を継続していると、インタファクス通信がターミナルの最高経営責任者(CEO)による情報だとして報じた。

  ノボロシースク攻撃の情報が伝わった後、ブレント原油相場は一時3%上昇し、1バレル=65ドルに迫った。ただ、上げ幅はその後縮小している。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は60ドル近辺で取引されている。

原題:Ukraine Hits Russian Black Sea Oil Port as Six Die in Kyiv (2)(抜粋)

— 取材協力 Alaric Nightingale

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