「おこめ券」が不評の鈴木農水相 父親に“あやしい過去”が… 後援会幹部は「あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがある」
新米の出荷が始まった後も、コメの価格高騰は収まっていない。鈴木農水相は高騰するコメ価格対策として、備蓄米の放出に替わり「おこめ券」の配布を提唱した。しかし、地方自治体からは「事務作業の手間がかかる」などと反発の声が相次ぎ、「JAに利益を誘導するつもりではないか」との批判も起こっている。 その鈴木氏はこれまでエリート街道をひた走ってきた。開成高校卒業後、東大法学部を経て、農水省に入省。消費・安全局総務課総括係長を最後に30歳で退職すると、2012年、準公募的手続きにより自民党山形県第2選挙区支部長に就任。同年12月の総選挙で初当選を果たしている。鈴木氏が山形を選んだのはルーツがあるからだ。祖父は山形県南東の高畠町、父親は隣の南陽市の出身である。 後援会の幹部が語る。 「親父が来て、“息子が衆院選に立候補するから協力してくれないか”と言ってきてね。物静かな感じの子でさ。滅多に入れない農水省を辞めて、なんで選挙なんかに出るのかって思ったよ。本当に当選するとは思ってもいなかった」 この幹部に父親の素性について聞くと、 「親父は地元の集まりにもほぼ顔を出さない。あいつは昔、週刊誌沙汰になったことがあるからさ。福島県の磐梯山のリゾート開発の件を調べてみるといい」
週刊誌沙汰とは穏やかではない。調べてみると、確かに鈴木氏の父親はかつて新聞や週刊誌をにぎわせたいわく付きの会社に役員や社長として名を連ねていた。役員を務めていたのが「磐梯リゾート開発」。同社の筆頭株主である「テクノ・グリーン」や二つの関連ゴルフ場の社長にも就いていた。 「磐梯リゾートは宮崎の『シーガイア』と共に、リゾート法の第1号として地方自治体と民間企業の共同出資で設立された第三セクターです」 とは、さる経済ジャーナリスト。 「旧大蔵省OBらの後押しを得て、総事業費約1000億円を投じて、開発したのが総合リゾート施設の『アルツ磐梯』でした。しかし、バブル崩壊後、開発が滞った。最終的に02年、総額946億円に上る巨額の負債を抱えて、民事再生法の適用を申請。現在は星野リゾートが事業を継承しています」(同)
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新聞・週刊誌は1990年代後半、磐梯リゾートが巨額の負債を抱えるようになったのは、一部の旧大蔵省OBが開発事業を私物化したからだと何度も報じている。 「新聞は98年に、旧大蔵省OBのA氏がテクノ社傘下のゴルフ場における預託金250億円の流用疑惑に関与していると大きく伝えています。また雑誌は、A氏がゴルフ場に対して、旧知の銀座の女性画商から約1億円相当の絵画を購入させた挙げ句、画商と金銭トラブルになっているとも報じました」(前出のジャーナリスト) テクノ社やゴルフ場の社長を務めていた鈴木氏の父親が、こうした乱脈経営の責任を負う立場にあったことは間違いあるまい。さらに、注目すべきは福島県信用農業協同組合連合会(JA福島信連)との間で生じた裁判沙汰だ。テクノ社は自社のゴルフ場開発中止の理由はJA福島信連の融資が止まったことにあるとして、信連を相手取り損害賠償を求めて裁判を起こしていた。こうした経緯については「親族である鈴木氏が公平・公正な立場から農水相の職務を遂行できるのか、疑念を持たれかねない」(同)との指摘もある。
現在は東京都江戸川区にある鈴木氏の自宅マンションの近くに夫婦で暮らす、父親に話を聞いた。 「Aさんの弟さんは私の会社の役員でしたから。その関係で数回、会っただけです。それほどの付き合いがあったわけではありません。(テクノ社とJA福島信連との裁判は)もう解決済みですよ」 一方、鈴木氏にも書面で質問を送ったが、期限までに回答は得られなかった。 「おこめ券」の不評から高市内閣のアキレス腱となりつつある鈴木氏。12月18日発売の「週刊新潮」では、テクノ社とJA福島信連とのトラブルの詳細と、鈴木農水相本人の地元での評判について報じる。
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