さらば、残念なSiri。Apple×Googleで「Geminiの頭脳」を手に入れる

Appleが「より賢いSiri」を発表してから、かれこれ2年近くが経ちました。「いつになったら使えるの?」と首を長くして待っているのは、私だけではないはず。

現状のSiriといえば、Apple製品について簡単な質問に答えるか、あるいはChatGPTに質問を丸投げするか。iOS 18.1で「Apple Intelligence」が他機能向けにリリースされて以降も、肝心の音声アシスタント自体は、以前とほとんど変わらないままでした。

しかし今朝、事態は大きく動き出しました。iPhoneの生みの親であるAppleは、AI対応Siriの自社単独開発に見切りをつけて、なんとGoogleに助けを求めたとの報道が話題を呼んでいます。

マンガでもライバル同士が手を取り合って戦うシーンほど盛り上がるものはありません。AIを搭載した真のSiriが、私たちの手元に届く可能性がすぐ間近に迫っているのかもしれませんね!

プライドを捨ててでも実現したい?GoogleへのSOS

CNBCのジム・クレイマーに対する声明の中で、Appleは今後、純粋な自社製モデルではなく、Googleの「Gemini」を使用してAI搭載Siriを動かす計画であることを認めました。

同社のコメントは以下の通り。

慎重な評価の結果、Googleの技術がApple Foundation Models(基盤モデル)にとって、もっとも有能な基盤を提供すると判断しました。これによりユーザーに革新的な新しい体験を提供できることを楽しみにしています

AppleのAI開発現場で起きていたトラブル

以前、AppleはAI版Siriについて「メールの下書きを作成して送信する」といったタスクの代行や「テキストメッセージのやり取りから友人の住所を探し出す」といった文脈を理解した回答が可能になると約束していました。

しかし、報道によると開発は難航していたようです。

こうした高度な新機能をテスト実装しようとすると、アラームやリマインダーのセットといった、従来のSiriが当たり前にできていた基本機能が壊れてしまうという問題が頻発していました。そのたびにAppleは設計のやり直しを余儀なくされていたのです。

実は、Android向けのGemini搭載アシスタントも当初は似たような問題に直面していたそう。

しかし、最新のGoogle製スマホを実際に触ってみた感触として、そうした「産みの苦しみ」はすでに解消されているように感じます。

外部の助けを求める際、Appleが最初にGoogleに白羽の矢を立てたのは、理にかなった判断だと言えるでしょう。

気になる「プライバシー」問題

現時点でAppleはこの契約の詳細について多くを語っていませんが、Google側がAppleユーザーに向けて、データの扱いに関する明確な保証を提示してくれました。

Xでの声明において、Googleは次のように明言しています。

  • Apple Intelligenceは引き続きAppleデバイスおよびPrivate Cloud Compute上で動作する。
  • Appleの業界最高水準のプライバシー基準は維持される。

これは現在AppleがOpenAIと結んでいる契約と同様のもの

つまり、ユーザーがAIに質問をしても、そのデータがAIの学習に使われたり、リクエストのログが保存されたりすることはありません。

要するに、GoogleはAI版Siriを経由したデータを一切取得できないということです。

また、Googleの声明により、Appleとの契約が「複数年契約」であることも確認されました。これは長期的なパートナーシップを意味します。

で、結局いつ使えるの?

何より期待が高まるのは、GoogleがAI搭載Siriの登場を「今年(this year)」と明言したことです。

これは昨年3月にAppleの広報担当者がDaring Fireballに語った「AI対応Siriは予想より時間がかかっており、2026年のローンチを望んでいる」という発言とも一致します。

「Appleはこのプロジェクトを諦めたのではないか」と不安に思っていた人にとっては、これ以上ない安堵の材料でしょう。

具体的な日付はまだ不明ですが、Appleの内部事情に詳しいBloombergの記者マーク・ガーマン氏は以前、AI Siriのアップグレードは「春」に公開されるだろうと予測していました。

個人的には、毎年6月に開催される年次開発者会議「WWDC」まで発表を温存する可能性も十分にあると考えています。

AppleとGoogleは、以前からiOSとAndroidで激しく競合する両社ですが、ビジネスの裏側では以前から深い関係にありました。

もっとも有名なのが、iPhone(Safari)の標準検索エンジンをGoogleにするという巨額契約です。この契約は長らく独占禁止法をめぐる裁判の争点となっていましたが、最終的には「契約の維持自体は認めるが、他社を完全に締め出すような『排他的な契約』は禁止する」という落とし所で決着がつきました。

SiriへのAI搭載がここまで遅れた背景には、両社がこうした法規制のリスクを過剰なほど警戒し、提携に慎重にならざるを得なかった事情があると考えられます。

しかし今回、裁判所がGoogleに対して、生成AI製品の「事前搭載」や「配置」に関する契約を認める判断を下しました。これにより、最大の懸念材料だった法的なハードルがクリアされ、晴れて堂々と手を組めるようになったのです。

著者紹介:Michelle Ehrhardt

米Lifehackerのアソシエイト・テック・エディター。アーラム大学で歴史学の学士号を取得し、その後ニューヨーク大学でゲームデザインの修士号も取得。ジャーナリストとしてのキャリアはOut Magazineではじまり、LGBTの視点を中心に、ゲーム、音楽、映画、政治などを取材している。

Source: Apple, CNBC, Daring Fireball, Bloomberg

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