ドルほぼ全面安、トランプ次期米政権の関税引き上げは段階的と報道

14日の取引で、ドルがほぼ全ての主要通貨に対して下落。米国債利回りは低下した。米国のトランプ次期大統領の経済チームが、段階的な関税引き上げを検討しているとブルームバーグ・ニュースが報道し、材料視されている。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.4%下落し、10年債利回りは3ベーシスポイント(1bp=0.01%)低い4.75%となった。トランプ氏の経済アドバイザーらは、関税を一度に大きく引き上げるのではなく、時間をかけ段階的に引き上げることを検討している。こうした漸進的なアプローチであれば、インフレ圧力は鈍くなり、米金融当局にはいっそうの利下げ余地が生じる可能性がある。このためドルを圧迫する要因になり得る。

  一方、オーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルなどリスク感応度の高い通貨が米ドルに対して上昇。米国の高関税導入を見込むトレーダーが真っ先に売りの標的とする中国のオフショア人民元も、報道が伝わった直後に小幅に上昇した。

  米ドルは13日まで5日続伸し、同日には2年ぶりの高値をつけていた。ブルームバーグの報道を受けた今回の下げは、トランプ氏が関税計画の縮小を検討していると米紙ワシントン・ポスト(WP)が報じた今月6日以来の大きさ。トランプ氏は自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、WP紙の記事を否定した。

  ドルの下落は、1日あたりの取引が7兆5000億ドル(約1184兆円)規模に上る外国為替市場で、関税が市場心理に大きな影響を与えていることを浮き彫りにした。

  ただ、この動きは一時的なものに終わる可能性もある。ウォール街のほとんどの銀行は、2024年にドルが8%上昇した後も、ドル高が進むと予想している。先週発表された雇用統計の大幅な改善により、米国の利下げペースが鈍化するとの見方も広がっている。

  14日発表される生産者物価指数は、米国の物価リスクについてより多くの手がかりを提供するとみられる。ブルームバーグのまとめによると、エコノミストの多くは、卸売価格が前月比、前年同月比ともに上昇すると見込んでおり、これがドルと米国債利回りの押し上げ圧力になる可能性がある。

原題:Dollar Falls on Report Trump Team Is Mulling Gradual Tariffs(抜粋)

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