AIが生んだ「架空の判例」を双方が掲げて裁判、弁護士4人が処分される事態に(CNET Japan)
法律関係者の間で、法律文書の一部を作成するためにAIツールを利用する動きが広がっている。しかし、その使い方を誤れば大きな代償を払うことになりかねない。ミシシッピ州の連邦裁判所で最近行われた訴訟では、太陽光発電プロジェクトの報酬をめぐって争う双方の弁護士が書類作成にAIソフトウェアを使い、架空の判例を引用したとして懲戒処分を受けた。 この訴訟「Withers v. City of Aberdeen」は、弁護士のTom Withers III氏とミシシッピ州アバディーン市との間の争いだ。Withers氏は、太陽光発電開発プロジェクトに関する報酬を同市が支払う義務があると主張していた。Withers氏本人は戒告の対象ではなかったが、同氏の弁護団は対象となった。市側の弁護士も同様だった。判事は、双方2人ずつ、計4人の弁護士が、人間の弁護士による適切な確認を経ないままAIを使って提出書面を作成したと判断した。 この結果はThe New York Timesなどのメディアの関心を集め、法曹界にとっての教訓となりそうだ。この問題を最初に見つけたのは、マーケティングおよび商取引を専門とする弁護士のRob Freund氏で、同氏はこれを「AIによるエラーの喜劇」として「X」に投稿した。 ウェブサイトの404 MediaがFreund氏の投稿について報じたことで、この訴訟は全米で注目されることになった。 米連邦地裁のSharion Aycock判事は、AIに起因する誤りなどを理由に、4人の弁護士に罰金を科し、この訴訟を打ち切った。 「裁判所は、4人の弁護士全員が自ら認めている通り、それぞれの提出書面で引用した法的根拠を確認せず、規則第11条に違反したと判断した」と同氏は述べた。 連邦民事訴訟規則第11条は、弁護士が提出する法的文書に署名しなければならないと定めており、これは基本的に提出内容が真実であることを裁判官に約束するものだ。 「すべての弁護士は資格を持っており、おそらく法律の訓練を十分に受けているはずだ」とAycock氏は記している。「テクノロジーをうのみにした結果、それぞれの提出書類にハルシネーションに基づく引用が含まれる事態を招いた」 AIのハルシネーションとは、大規模言語モデルが言葉をつなぎ合わせて、もっともらしい文章を作成する際に日常的に生成する誤りや虚偽情報のことだ。 AIの法的な落とし穴 AIのミスによって弁護士が窮地に陥ったケースは、ミシシッピ州の訴訟だけではない。最近起きた法的な混乱をきっかけに、ニューヨーク州は生成AIに関する新たな規則を導入した。例えば6月1日以降、「ChatGPT」のようなツールを使って生成された結果は、弁護士・依頼者間の秘匿特権によって保護されなくなる。 米国最大の弁護士団体である米国法曹協会(ABA)は米CNETへの声明の中で、弁護士が業務でAIを使用する際、複雑な新たな課題に直面していると述べた。 「弁護士は、生成AIの出力には精査と監視が必要であることを理解している」と、ABA会長のMichelle A Behnke氏は述べた。「ABAは、会員が新しい法律、新しいテクノロジー、新しい実務ツールに対応できるよう支援していく」 同団体はAIに関するタスクフォースを設けており、12月には、弁護士のAI導入状況、ベストプラクティス、AIポリシーをまとめたレポートを発表した。また、AIを使用する弁護士向けの倫理的ガイドラインも発行している。 その助言の1つは、「弁護士は、クライアントに法的サービスを提供するために使うテクノロジーに伴う『利点とリスク』を理解すべきだ」というものだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。